水曜随想 「真の備えとは何か」 

DSC_0215_02 毎日タマネギを1個食べるという知人が、価格高騰に嘆いている。生産量日本一の北海道が台風で、2位の佐賀県が「べと病」で記録的不作になったからだ。「だからTPPが必要だ」という声が聞こえてくる。違うだろう。こんな時だからこそ、備蓄・自給率の向上と価格保障で安心の農業に切り替えるべきではないか。
 
 東日本大震災でも熊本地震でも、復興の要となる自治体の職員が決定的に足りない。「派遣要請はしているのですが‥」。地震と豪雨で甚大な被害を受けた熊本県の首長の悩みを聞いた。合併と「行革」で職員を大幅に削減してきたツケがまわっている。それでも「公務員減らせ」という政治家と政党に言いたい。まず被災現場を見てこいと。
 
 「備えあれば憂いなし」といって、有事法制を強行した首相がいた。この国の「備え」は武力行使につながる軍備増強。それは憂えにつながるものでしかない。先日、街頭演説していたら、自衛隊車両から手振りが数回寄せられた。彼らは安保法制に困惑している。災害救助でかけがえのない役割を果たす隊員の命を戦争で奪うな。
 
 老後の備えはどうか。安倍政権は、年金積立金の株式運用を倍増させ、4~6月期だけでも5・2兆円もの巨額の損失を出した。それだけでも辞任に値する。そして病床数を削減し、要介護1、2は介護給付から外す計画など、社会保障は大改悪の一途だ。
 
 憲法を実践すれば、安心の備えはおのずと形成されるが、自公政権には憲法が眼中にないから、アペコベ政治となる。
 
 先の参院選を頂点に野党共闘は大きく前進。政策的一致も格段に広がった。暴走政治にとって代わる備えはできつつある。
 
 もうすぐ臨時国会がはじまる。真の備えとは何か。国民は何を憂えているか―この夏聞いたたくさんの地方の声を、住民の思いを政府にぶつけたい。(しんぶん赤旗 2016年9月14日)