国支援で復旧・復興を 熊本地震1年 南阿蘇村長や住民と懇談 小池書記局長が調査

29日 熊本調査 (3) 日本共産党の熊本地震被害国会調査団(団長=小池晃書記局長)は4月29日、被災から1年がたった被災自治体を回り、首長や被災者らから復旧・復興や生活再建に向けた要望などを聞き取りました。
 
 小池氏らは震災で大きな被害を受けた南阿蘇鉄道(本社、高森町)の津留恒誉専務を訪ねました。
 
 全線復旧には、国土交通省の調査で65億~70億円がかかる見込みです。路線で一番の人気スポット、第1白川橋りょうの復旧には、設計から5年かかる見通しです。
 
 津留専務は、国の支援が4分の1にとどまっている現状を拡大し、地元の負担をなくしてほしいと要望。「全線復旧すれば地域とともにさらに誘客を実現し、経営も安定化できる自信があります」とのべました。
 
 小池氏は、全国の鉄道網維持に責任を果たすよう国に求める党の政策提案を紹介し、「鉄道の災害復旧について国の制度はきわめて貧弱であり、日常的に第三セクターなどへの支援は非常に弱い。何としても国の責任で復旧させるよう党として提案した。実現のため力をつくしたい」と応じました。
 
 南阿蘇村では、2月に初当選したばかりの吉良清一村長と懇談しました。
 
 吉良村長は「行政の優先課題は、住民が元の生活に一日も早く戻れることだ。スピード感をもってやっている」とのべ、災害公営住宅の整備計画を説明しました。また、観光と農業の再生、交通網の復旧を最優先の課題としてあげました。鉄道の復旧についても「ぜひ地元負担がなくなるように」と求めました。
 
 小池氏は「安倍政権は、被災地に寄り添うと言うが、口先だけだ。これだけの災害を小規模の自治体が被った以上、国が財政負担で責任を持ち、復旧・復興に力を尽くすのは大原則だ」と語りました。
 
29日 熊本調査 (2) 益城町と西原村古閑地区では、住民から困っていることや要望を聞き取りました。
 
 自宅の塀が倒れた女性(65)=益城町=は「被害の判定は『一部損壊』で、法律の支援の対象外。直すのに80万円もかかったのに、5万円の義援金だけだった。年金生活なので、1割でも支援してほしい」と訴えました。
 
 小池氏は「半壊や一部損壊に支援がないことは大問題。野党共通の政策として支援策を求めていきたい」とのべました。
 
 西原村古閑地区では、復興委員長の竹口幸宏さん(59)らが、地区再建にむけた取り組みを紹介しました。懇談では、建築費の高騰が話題となり、震災前は坪単価30万円だったものが、現在80万円となっていることが語られました。支援活動と避難生活の実態調査に取り組む「よか隊ネット」と熊本市内で懇談しました。
 
 調査は30日まで2日間の日程です。田村貴昭、真島省三の両衆院議員、仁比聡平参院議員、松岡勝衆院九州・沖縄比例予定候補、せきねしずか衆院熊本3区予定候補、山本伸裕県議らが参加しました。
 
【南阿蘇鉄道】南阿蘇村立野―高森間(17・7キロ)を結ぶ高森線を旧国鉄から引き継いだ第三セクターの運営。熊本地震で橋りょうや線路に大きな被害を受け、現在は中松―高森間(7・1キロ)の一部運転のみにとどまっています。年間25万人を超え、伸びていた利用客数は昨年7月の一部運転再開以降で3万人台に大きく減少。全線復旧には、設計着手から5年ほどかかる見通しです。(しんぶん赤旗 2017年4月30日)