189-衆-総務委員会- 2015年03月25日 NHKの受信料と籾井会長のハイヤーの私的利用問題について質問 田村貴昭衆院議員

○田村(貴)委員
日本共産党の田村貴昭です。
昨日はこの総務委員会でNHKの集中審議があり、私も質疑に立ちました。きのうの論戦を踏まえて、きょうはNHKの受信料と、それから籾井会長のハイヤーの私的利用問題についてお伺いします。
最初に、受信料の件についてであります。
NHKの予算の大半は受信料によって賄われています。そのようになっている意義について述べていただきたいと思います。


○籾井参考人

 お答えします。我々にとりまして、受信料というのは本当に一番大事なもので、これなくしてはNHKというのは存在し得ません。我々、公共放送を維持するために絶対的に必
要なものでもあります。さらに、全国の視聴者の皆様に、事実に基づいた正しい報道と、それからいろいろな番組、いい番組をおつくりするために、やはり必要なものでございます。
そういう、我々にとりましては何物にもかえがたい大事な受信料でございます。

○田村(貴)委員
憲法の保障する国民の知る権利、表現の自由を担保するために、政府からの独立、それから利潤追求の原理に縛られることのないようにする、ここが何よりも大事であります。だからこそ、公共放送として、主として視聴者からの受信料で運営されています。そういうことですよね。
したがって、NHKが何よりも目を向けなければならないのは視聴者であります。その視聴者からNHKのトップである籾井会長の発言に対して、批判の声がこの間ずっと向けられてきています。
お伺いします。
籾井会長の一連の発言に対する視聴者からの問い合わせ、意見はどれだけ寄せられているのでしょうか。会長就任の昨年一月から直近までの数字でいいですので、教えてください。


○吉国参考人
昨日の審議でもお答えいたしましたけれども、去年の一月二十五日から六月十八日までのおよそ五カ月で四万四千二百件の意見がございました。それから、ことしに入ってからでは、先月二月一日から今月二十日までの間に八千百件の御意見がありました。
我々が把握しているのはこの期間だけでございます。


○田村(貴)委員
合計すれば五万二千三百件。そのうち、批判的な意見はどのぐらいの割合になっていますか。


○吉国参考人
これもきのう御説明しましたけれども、一人の方の御意見が多岐にわたっていまして、中には、肯定的なところと否定的なところ、両方おっしゃっている方もいますので、厳密には区分けできません。あえて言うならば、七割程度が批判的な意見だろうということです。


○田村(貴)委員
七割を占めているということであります。
わかっているだけで五万を超える批判の声、これはもう相当なものです。まさに異常事態であります。
加えて、受信料の支払い保留が一月末において三千百件に達していることも伺っております。

こういう状況において、当の籾井会長が今月五日、受信料の支払いについて義務化できればすばらしい、法律で定めていただければありがたいと発言されました。私、答弁を聞いていて、非常にびっくりしました。みずから視聴者への信頼と受信料への理解を失わせておきながら、受信料の強制徴収で財源を賄おうとする姿勢は、視聴者の神経を逆なでするものと言わなければならないと思います。
お伺いします。
会長の受信料支払い義務化の発言について、NHKには視聴者からどんな意見が寄せられているんですか。教えてください。


○吉国参考人
お答えいたします。
主な意見でございますが、受信料の義務化はNHKや受信料制度の根幹を揺るがすものではないかという意見があった一方で、受信料の支払い義務化はきちんと明文化した方がよいという意見もありました。


○田村(貴)委員
公共放送なのに受信料の義務化はおかしいという意見があったことも、私、NHKから教えていただきました。批判的な意見はたくさん寄せられています。
籾井会長、二十日前に会長が述べられた、義務化できればすばらしいとのお考え、今でもそう思っておられますか。


○籾井参考人
NHKの現在の支払い率は七五、六%でございます。つまり、二四、五%の人たちは受信料を払っていただいていないわけでございます。

我々にとって、先ほどから受信料が大事だというお話、私もそう思いますし、委員もそう思っておられますが、これを確保するためには、やはり公平負担という
ことが何よりも大事であり、ある意味では、七五%の人は二五%の人のために負担を強いられている、こういうことに相なるわけでございますね。
したがいまして、我々としましては、支払い率の向上、理想的には一〇〇%でございますが、とりあえず今次予算では、一〇〇%を掲げて予算をつくりますと予算が成り立たないので、これは八〇%といって、相当爪立った数字を出しております。
私が義務化についてすばらしいと申したのは、言葉は別として、もし支払い義務化がなされれば、一〇〇%になるわけですから、そういう意味では不公平感がなくなる、こういう意味でございます。

ただし、義務化というものは、現在議論の俎上にものっていませんし、それから、やはり国民的なコンセンサスとか、いろいろな要素がございます。そういうも
のをクリアしないと、これはできないわけですから、まだまだ先の話であるというふうに思っております。我々の中でも、そういう義務化の話は出ておりませ
ん。


○田村(貴)委員
出ていない中で、すばらしいという言葉を使われた、それを今どう思っておられるんですかと聞いたんです。
会長、言葉は大切ですよ。とりわけ放送とか報道に携わるNHKの会長だったら、言葉はともかくもと、そういう言い方はないと思います。
経営委員長にお伺いしたいと思います。
世論が大きく高まっているわけでもなく、NHKとしての検討もされないうちに、会長が、すばらしいとの発言をしてしまう。こんなことで、公共放送としての役割が円滑に進んでいく、果たせていくというふうに思われますか。


○浜田(健)参考人
委員の御質問の趣旨は、義務化についての認識ということでよろしいんでしょうか。
何度かお答えしておりますけれども、放送と通信の融合が進んでいく現代にあっては、現行の受信料制度についても検討の余地があるというふうには考えております。しかし、制度を変更するに当たっては、国民的な合意形成が必要であるというふうにも考えます。
したがいまして、経営委員会といたしましては、次期経営計画の議決の際に、執行部に対して、受信料制度について研究を鋭意進め、この問題に関する国民的合意形成のために努力することを求めております。
議論の進め方は、執行部においてまず検討すべきものと考えておりますが、経営委員会としては、議論に前提は設けておりません。


○田村(貴)委員
高市大臣にもお伺いします。
先ほどもありましたけれども、総務省として、受信料の意義、それから支払い義務化についてどのように考えておられるでしょうか。


○高市国務大臣

まず、受信料の意義というお尋ねですけれども、NHKが、公共の福祉のために豊かで、かつ、よい番組を放送するという公共放送の社会的使命を果たすために必要な財源を、広く国民・視聴者全体に公平に御負担いただくための特殊な負担金と位置づけられていると承知をしております。
それから、受信料の支払い義務化について、総務省として今これを検討しているということはございません。
ただ、まずは、受信料の公平負担の徹底というのは非常に重要でございます。ですから、私が二十七年度予算に付した大臣意見におきましても、「未契約者及び未払者対策を一層徹底し、支払率の向上を図ること。」と言及をいたしました。

真面目に負担されている方、そして支払っていない方、この不公平が生じてはいけないし、支払っていない方、その人の分を真面目に負担している方が余計に負担していたら、これは大変残念なことでございますので、まずは、NHKに対してしっかりと徴収率のアップを求めているということでございます。


○田村(貴)委員

視聴者の理解を得て、そして受信料で支えられている現行の制度というのは、まさに、国民の知る権利や表現の自由を保障し、健全な民主主義の発達に資する、公共放送の根幹をなすものだというふうに考えます。そうした国民とNHKとの関係において、軽々に受信料の支払い義務化を持ち出してはならないというふうに私は考えます。
次の質問に移ります。
籾井会長のハイヤー私的利用問題についてであります。
籾井会長が一月二日のゴルフで私的使用したハイヤーの乗車代金がNHKに請求され、支払いを肩がわりした問題は、国会でも連日取り上げられてまいりました。そして、視聴者の不信を高めています。
最初に、監査委員会にお尋ねします。
NHKに監査委員会が設置された経緯について説明してください。


○上田参考人
お答えいたします。
監査委員会は、協会のガバナンス強化を盛り込んだ、平成十九年放送法改正により設置されました。


○田村(貴)委員
その監査委員会の仕事の中で、会長を初め役員の職務執行に関する監査制度について説明をしてください。


○上田参考人
お答えいたします。
放送法は、監査委員に対しまして、役職員に対する職務執行に関する報告徴収権や協会の業務等に関する調査権限や子会社に対する調査権限を与え、また、役員の法令、定款違反の行為等について監査委員による差しどめ請求を認めております。
さらに、監査委員に対し、経営委員会に対する役員の不正の行為等に関する報告義務や監査委員会の職務執行状況の報告義務を定めております。
以上です。


○田村(貴)委員
もう一つお尋ねします。
今回、会長のハイヤー私的利用をめぐる監査委員会からの結果報告書が出されています。
これまで、NHK会長の職務の執行にかかわる対応事案はあったんでしょうか。


○上田参考人
お答えいたします。
放送法は、監査委員に対し、役員等の職務執行に関する事項の報告を求め、また、協会の業務等の調査を行う権限を認めております。
御質問いただきました会長の行為を対象とする放送法第四十四条に基づく個別事案の調査が行われた事例はございませんが、理事の経営委員会における発言等の調査は行ったことがあります。
以上です。


○田村(貴)委員
会長についてはない。つまり、あってはならぬことが起こっているわけであります。公私混同がなされて、そしてNHKの監査部門でも前代未聞の事態となっているということであります。
そこで、籾井会長にお伺いします。
会長は昨日の私の質問に対して、一月二日のゴルフは完全プライベートなものであった、NHKの会長就任以降、小金井カントリーには二回から三回行った、その交通手段については自宅から電車とタクシーを利用したと述べられました。
確認します。そういうことでよろしいでしょうか。


○籾井参考人
結構でございます。


○田村(貴)委員
では、なぜ一月二日の日はNHKの秘書室にハイヤーの手配を頼んだんですか。


○籾井参考人
一月二日はお正月で、一つは電車が混んでいるんじゃないかということと、二つ目は駅にタクシーがいるかどうか、これが不安でございました。たしかあの日は寒うございましたので、結果として、そういうことで念のために車を頼みました。


○田村(貴)委員
しかし、会長は、今度、タクシーを手配するという理由に、安全の確保への配慮ということを述べられている。それは監査委員会の報告書でも上がっているじゃないですか。寒かったから、電車が混んでいる、ちょっと論拠が成り立たないというふうに思います。
結果として、私用で使ったハイヤー代金四万九千五百八十五円を協会が二月二十七日に支払うことになったわけなんです。あってはならないことなんです。しかも、トップみずからがこういう違反を起こしているわけです。全く公私の感覚がなくなっていると言わざるを得ません。
会長、昨日の委員会で、答弁でこういうのがありました、今をして思えば別のやり方があったと思うと。今をしてどんなやり方がふさわしかったのか、率直な思いを聞かせてください。


○籾井参考人
ほかのハイヤー会社を使えばよかったということでございます。


○田村(貴)委員

NHK業務と関係のないゴルフなんだから、協会と提携のないハイヤー会社に個人的に頼めば済んだ話、これはきのう私も主張しました。会長もそうお認めになりました。秘書室に手配を要請した、このことがそもそもの間違い、そこから公私混同が起こってしまったということです。この点は厳しく指摘しておきたいと
いうふうに思います。
そこで、きのうから論議している例外の規定の問題なんですけれども、秘書室も執行部も、それから監査委員会も、私的利用目
的であったとしても、「その立場上必要な、身柄の安全、情報管理および所在確認のために、協会が手配するハイヤーの利用を必要とする場合がある」としているんですね。
では、その三つの根拠は何か明文化されているんでしょうか。その根拠について教えてください。


○石田参考人
明文の規定はございません。


○田村(貴)委員
文書規定もないのに例外を認めることは、私は問題だと思いますよ。タクシー、ハイヤー利用については、「本部における自動車使用要領」に、「業務上必要な場合に限る。」として、厳密に公私混同を禁じて、例外規定を設けていません。

NHKの年間ハイヤー代金は、昨年度、七億四千二百万円であります。この例外を認めれば、際限なく公私混同が広がってまいります。今回の一件のハイヤー乗車票であってもずさんな事務処理がされていたのに、厳密な処理ができるわけないじゃないですか。おかしいと思いませんか。
監査委員会は、その意見のところでこの三つの例外について理解を示すようなまとめをしていますが、これはだめです。国民・視聴者の納得を得るように、きちんとこれからも監査を進めていく、曖昧な例外は容認してはならない、このことも厳しく要求させていただきたいと思います。
そこで、NHKと契約しているハイヤーの会社です。二社ほど契約していると伺っていますけれども、このハイヤーの法人契約において割引の適用はあるんでしょうか。


○石田参考人
お答えします。
NHKとハイヤー会社との契約は、複数社を対象としたプロポーザル方式による指名競争入札で行っています。契約の内容について公表するのは差し控えたいと思います。


○田村(貴)委員
割引契約があるわけなんですよ。だから、籾井会長のハイヤー利用、この一件はその意味においても問題です。なぜならば、全くのプライベートのゴルフの送迎にNHKのハイヤー割引制度を利用したということなんです。
見方を変えれば、他社に頼むよりもNHKのハイヤー代の方が安いから利用したという見方も成り立つじゃないですか。こうした問題もあるから、極めて曖昧な例外を認めない。それはNHKの方でしっかり対処していく。監査委員会が認めたらだめですよ。
大臣に伺います。
NHKのトップが、前代未聞の公私混同のハイヤーを利用した。そして、これまた異例の、監査委員会から報告が今上がっている。本委員会でも集中審議が行われている事態がありました。率直に見て、この問題をどう思われているでしょうか。


○高市国務大臣

繰り返しになりますが、ハイヤーの利用に関する問題につきましては、受信料により運営される公共放送の社会的責任の重さに鑑み、国民・視聴者から疑念を持たれることのないよう、監査委員会の調査報告や経営委員会の見解を踏まえ、再発防止に向けてしっかりと対応していただくことが必要だと思っております。


○田村(貴)委員
昨年の四月一日、NHKの新入局員の入局式で、籾井会長の講話の中で次のくだりがございます。

公共放送NHKを考える上で重要なことは、視聴者の皆様からお支払いいただいている受信料で成り立っていることです。受信料制度は、皆様からの期待や信頼があり、NHKがその役割をきちんと果たしているということがあって成り立ちます。職員全員が信頼や期待を積み重ねていったとしても、たった一人の行為がNHKに対する信頼の全てを崩壊させることもあります。
会長講話の中でこういう一文があるわけなんです。
その言葉は全部正しいですよ、会長。しかし、その言葉がそのまま今御自身に向けられている事態に対して、私はしっかり自覚をされる必要があると思います。これは執行部も監査委員会もしっかり自覚する必要があると思います。

一年たっても、公共放送のトップとしてあるべき発言の仕方もわきまえない、私的な遊びに使うハイヤー代を受信料で立てかえ払いさせようとした言語道断の公
私混同、そして、一層NHKへの視聴者の信頼を失わせることが本委員会の審議を通じて……(発言する者あり)私の発言中です。明らかになりました。こうし
たもとで、NHKの新年度予算を承認するわけにはまいりません。
もはや、籾井会長はNHK会長として不適格と言わざるを得ません。辞任すべきであります。そして、経営委員会は籾井会長を罷免すべきと考えます。そのことを我が党は強く主張して、きょうの質問を終わります。