190-衆-総務委員会 企業版ふるさと納税制度について・西日本寒波で支援を 田村貴昭氏農家などの声訴える

○田村(貴)委員 日本共産党の田村貴昭でございます。

 まず最初に、企業版ふるさと納税制度について伺います。

 自治体に企業が納税した際に、その企業の税負担の約三割を新たに軽減する企業版ふるさと納税制度が地方税法の改正案で打ち出されています。寄附額の二割分を法人住民税、一割分を法人事業税で軽減するというものであります。寄附の対象は、まち・ひと・しごと創生寄附活用事業となっています。

 政府は、対象の寄附の要件を内閣府令で定めるとしていますけれども、この内閣府令というのはいつ出されるんでしょうか。税法の決議の後でしょうか。お答えいただきたいと思います。


 

○末宗政府参考人 お答えいたします。

 二月の五日に、地方創生応援税制に枠組みを与えます法律案であります地域再生法の一部を改正する法律案を閣議決定いたしまして、国会に提出して、これから国会の御審議をお願いするところでございますけれども、この寄附の要件等を定めます地域再生法の施行規則につきましては、改正地域再生法案の施行日、すなわち平成二十八年四月一日でございますが、これに向けて準備を進めているところでございます。


 

○田村(貴)委員 法案がこれから通った後でないと、その寄附制度の具体的な内容はわからないといったことなので、二、三質問をさせていただきたいと思います。

 寄附の要件の一つが、寄附の代償として経済的利益を伴わないことというふうにしているわけであります。これは、企業版ふるさと納税制度が出てきたころから、報道等では早くから、寄附をした企業と自治体との癒着が起こらないか、こういう懸念がされてきているわけであります。

 寄附の代償としての経済的利益というのは具体的にどういうことを指しているのか、教えていただきたいと思います。


 

○末宗政府参考人 お答えいたします。

 委員御指摘のように、経済的利益の話でございますが、これは、地方創生応援税制の立案の段階から、地方六団体からもモラルハザードを招かないようにすべきといった御意見をいただいていたところでございまして、私どもも、寄附の代償として経済的利益の供与が伴うことがないようにする必要があると考えております。

 具体的な行為でございますけれども、寄附額の一部を企業に補助金等として直接的に供与することですとか、寄附を行った企業に対しまして入札あるいは許認可等で便宜を図るといったような行為が考えられまして、こういった行為を規制していくべきであると考えております。


 

○田村(貴)委員 この地方創生の事業認可で、工事として行われるときに、その寄附をした企業が随意契約で入るのは、これはもちろんだめですよね。だめだと思うんですよ。そうしたら、例えば、その事業以外に、自治体の一般的な公共事業に入札等で参加することは今の時点でいいと考えておられますか。


 

○末宗政府参考人 お答えいたします。

 先ほど申し上げましたように、寄附を行った企業に対して入札等で便宜を図ることを規制するということでございますので、ほかの企業と同様にフラットな形で参画をして、その結果として獲得するということはあると考えております。


 

○田村(貴)委員 やはり、企業は一般的に営利企業であります。基本的に、事業を通じて利益を得ることを目的にして活動をしているわけであります。寄附といえども目的は持っているわけでありまして、企業版ふるさと納税制度において、税の控除以外に企業はこの納税制度でどのようなメリットを受けられるのか、そのことについて教えていただきたいと思います。


 

○末宗政府参考人 お答えいたします。

 このたびの地方創生でございますけれども、これは人口減少に歯どめをかける国家的な取り組みでございますので、国、地方公共団体はもちろん、企業にも大きな期待があると考えております。

 企業が、創業地の事業ですとか、あるいは自社の事業分野に関連する事業などの地方公共団体の取り組みに対して今回の寄附税制を通じて資金面で支援する、このことは、企業が地方創生の推進に向けて社会的な期待に応えるということでございますので、企業のイメージを向上させるというメリットがまずあると思います。

 また、先ほど来御議論しております、寄附の代償として経済的利益を供与することは規制するところではございますけれども、寄附を通じて企業と地方公共団体の間に新たなパートナーシップが生まれる、そこから企業が新たな事業展開をするといった効果もあるものと考えております。


 

○田村(貴)委員 やはり、寄附活動における要件がわからないと、なかなかちょっと議論がしづらいんですよね。それがまた明らかになったときに議論をさせていただきたいというふうに思っているんですけれども、やはり、地方を応援する、地方創生の名のもとに、企業と自治体が、これはまた経済的利益を与えることによって癒着はしてはならないというふうに私は考えます。

 現時点で、今から、企業の方もこの制度で工事を請け負う、そしてイメージアップのために参加していこうという動きも出てくると思うんですね。でも、今の時点でわかっている要件についてはちゃんと周知を図るべきだ、国民的にも明示をすべきだというふうに要望させていただきたいと思います。

 

 次の質問に入ります。

 

 大雪、低温によって農作物が大きな被害を受けたことし一月下旬のお話をさせていただきたいと思います。

 一月下旬に、強烈な寒波が西日本を襲いました。農作物も大きな被害を受け、私は福岡に住んでいますけれども、水道管、給水管が凍結し、破裂し、漏水し、そして断水したというような大変大きな事件があちこちで起こりました。

 二十四日から二十六日にかけて、朝は非常に厳しい冷え込みとなりました。そのときに農作物に多大な影響が出ました。きょうは資料を配らせていただいているんですけれども、が農水省の資料です。大雪等による農林水産関係被害の概要であります。このうち農産物の損傷は、これはいろいろな県があるんですけれども、とりわけ九州の長崎県、それから鹿児島県でウエートが大きいというふうに伺っております。

(配布資料はコチラ)

 被害数、被害額について、簡単でいいですので、農水省、説明をしていただけますか。


 

○塩川政府参考人 お答え申し上げます。

 一月十七日からの降雪による農業関係の被害につきましては、農作物の損傷、家畜のへい死、農業ハウス、畜舎の損壊、共同利用施設の損壊など、全国で六十七億二千万円となっております。

 このうち農作物の損傷につきましては、全国の被害額は三十八億四千万円でしたが、九州での被害額は三十六億三千万円と約九五%を占めておりまして、九州の割合が著しく高くなっている、こういうふうに認識しております。


 

○田村(貴)委員 被害額、それから被害数においても九州が大きなウエートを占めているということなんですけれども、長崎県のお話をさせていただきます。

 長崎県はビワの産地でありまして、このビワは全国で三割以上のシェアを占める特産であります。農産物の主力であります。露地物は、果実が残念ながら凍死して、全滅状態という状況であります。

 私は、今月十一日に、長崎市大崎地区を中心に被害状況の視察をさせていただきました。地域の議員団の皆さんと一緒に見てまいりました。果実になりたてのビワの幼果というのは、零下三度の状態が五時間続くと、わずか五時間続くと八〇%が凍死するというふうに言われています。これが数日間にわたって大変気温が低かったのでありますので、非常に残念ながら、壊滅、全滅的な被害となりました。

 資料の3、私が撮った写真で恐縮なんですけれども、この左上の写真が、凍死したビワを切った断面図なんですね。中心の種の部分から黒から褐色になって、これは死んだというビワなんです。右が、ハウスで栽培されていて、これは健全な状態のビワであります。

 寒波の前の暖冬があったんです。エルニーニョ現象というふうにJAの方は言われていましたけれども、これで幾分大きくなったことがまた災いしてしまったということであります。半世紀さかのぼっても、こんな被害は長崎で、この地区ではなかったということで、農家の方は大変落ち込んでおられます。

 長崎県の報告では、農作物の被害総額は約八億四千万円。これは露地栽培のビワが大半でありまして、八億三千万円を占めているところであります。

 ビワの共済加入率が極めて低く、また、四年前の冷害による貸付資金の返済をしている人もまだおられるということで、農家の落胆は相当なものであります。もう廃業しかない、また寒波がやってきたらと思うと次の栽培に意欲が湧かない等々の声が聞かれました。一方で、これはブランドなんですけれども、茂木ビワ、長崎のビワ、このブランドを守ろうと、生産者、行政、そして農協を初めとして、ビワ園存続のための努力も続けられているところであります。

 そこで、まずお伺いしたいんですけれども、農業災害補償制度について、果樹共済の対象にビワが入っているんですけれども、加入率が少ない、この原因は一体何なんでしょうか。

 それから、これからはどういう対策が求められるとお考えでしょうか。


 

○橋本政府参考人 お答えいたします。

 果樹共済につきましては、面積ベースの加入率で、平成二十六年産ですが、全国平均では果樹全体で約二五%、ビワで約一一%、それから長崎県のビワでは約七%となっております。

 これは、ビワを含む果樹につきましては、農業者間の栽培技術等に大きな差があり、被害状況に偏りがある一方で、共済掛金率は原則として農業共済組合内で同一水準としてきたことから、みずからの被害状況と共済掛金率が見合わない農業者を中心に共済に加入しない傾向があること等によるものと考えております。

 こうした中、農業共済制度は農業経営安定のためのセーフティーネットとして農業振興上重要な役割を果たすものでありますことから、加入を推進するため、共済掛金に対して国が二分の一を負担するとともに、被害の発生率が低い農業者には共済掛金が安くなる危険段階別の共済掛金率の設定、それから、特定の災害のみを補償の対象とすることによる共済掛金率の軽減等を措置してきたところでございます。

 農林水産省としましては、引き続き農業共済組合に対しまして、これらの措置の導入を図るとともに、農業者への広報活動の積極的な実施に努めるよう指導することにより、共済への加入を促進してまいりたいと考えているところでございます。


 

○田村(貴)委員 わかりました。掛金と被害の補償がかみ合うように、そして共済の加入率が高まるように努力をいただきたいと思います。

 ビニール栽培のハウスも訪ねてまいりました。当日、大変寒い中、農家の方はストーブをたくさんたいて、そして氷点下を下回らないように懸命の努力をしてビワを守りました。

 今後の冷害被害というのは、起こらないという可能性はありません。また来年やってくるかもわかりません。ことしまたあるかもわかりません。

 このビワ対策というのは、やはり一つはハウスによって守られるというのが経験としてありました。実効ある施策であると思うんですけれども、農水省はどういうふうに考えておられますか。


 

○鈴木政府参考人 お答えをいたします。

 現場では、ハウスの中にあったビワはやはりきちんと生きているというか育っているということで、そういう対策を講じることは、非常に、品質もよくなるということも含めまして、有効な対策であるというふうに考えております。


 

○田村(貴)委員 そこで、私、先週、農水省の担当者の方から、平成二十七年度補正予算で可決した産地パワーアップ事業の説明を受けました。意欲のある農業者等が高収益な作物、栽培体系への転換を図るための取り組みを支援するという制度でありまして、事業費の二分の一を補助すると聞きました。

 この補助金の活用メニュー、高品質果実の生産体制の整備に対して、ここで言うならば長崎県そして地元市などが実施計画をつくれば、ビワ農家に対する簡易ハウスの購入に充てることが可能であるというふうにも伺いました。

 そうしたら、昨日、農水省は、大雪等被害産地営農再開支援対策というのを発表しました。この中にも、産地パワーアップ事業制度というのがありまして、大雪による被害を受けた果樹産地における寒害防止用の簡易ハウス施設の導入が支援の対象になる取り組みと紹介されています。

 非常に目的化されているんですけれども、お伺いしたいのは、この大雪等の支援対策の中で、露地ビワ産地などが簡易テント導入を希望して、県そして地元ともに実施計画をつくれば、国が二分の一の補助をするという理解でよろしいでしょうか。


 

○鈴木政府参考人 お答えをいたします。

 産地パワーアップ事業には、産地パワーアップ計画を策定し、収益力強化に取り組む産地に対しまして、国が二分の一以内を補助する事業であります。

 今回の被害を契機に、ビワの産地が自然災害にも強い栽培体系への転換などにより収益力強化に取り組む場合には、産地パワーアップ事業により、ビワの寒害防止用の簡易型ハウスの導入に必要な資材費への支援が可能となっております。


 

○田村(貴)委員 わかりました。

それでは、長崎県でも、それからほかの被害に遭った自治体、県でも、この制度を活用して手を挙げるといった場合に、その県も、あるいは市町村などが上乗せで簡易ハウスの補助をしたいという場合に、これは制度上可能なんでしょうか。


 

○鈴木政府参考人 お答えをいたします。

 産地パワーアップ事業の実施に当たりまして、県や市町村が支援の上乗せを行うことにつきましては、地方公共団体の判断で可能でございます。


 

○田村(貴)委員 わかりました。

 たくさん産地の方から私も生産者の声を聞きました。あちこち行けなくて残念だったんですけれども、例えば、長崎県の西海市の農家の方です。従来のこうしたときの対策というのは、共済で補償が受けられないというと、後どうするかというと、融資を受けるというのが通常なんですけれども、この融資についても、生産者が高齢化しているのでもう投資は不可能に近い、そして、廃業する人が今後ふえてくるのではないかというふうに嘆かれていたわけです。

 大変気の毒なんですよね。手塩にかけて育てたビワの実が、零下の気温が二日ほど続いて全滅してしまった。そして、今、これからどうしようかと思案している中で、こうした制度も出てまいりました。

 今度の大雪等被害産地営農再開支援対策事業、こうした対策は、長崎においては茂木ビワ、ブランドがちゃんと維持できるように、周知徹底も図っていただきたいし、実効ある対策となるように願いたいというふうに思います。

 この事業と、もう一つあるんですね。見せていただいたら、雪害対応産地再生緊急支援事業というのがあります。これはどういう制度なのか、簡単に説明していただけますでしょうか。


 

○鈴木政府参考人 お答えをいたします。

 今般発表いたしました雪害対応産地再生緊急支援事業は、被害を受けた産地に対しまして、速やかな営農再開ができるよう、圃場に残っている残渣の搬出、圃場の整地、果樹の整枝などの栽培環境の整備、次期作に必要な種苗、肥料などの資材の共同購入を支援するものでございます。


 

○田村(貴)委員 それは書いているので、私も読ませていただいたのでわかるんですけれども、もうちょっと具体的に、例えば、この緊急支援事業は、さきに述べたパワーアップ事業の補助率二分の一であるとか、制度のスキームはどうなっているんでしょうか。

 さらに、個々の例としては、凍結により黒変したソラマメの殻、寒害によりしおれたバレイショとかいろいろ書かれています。寒害により枯死したビワの幼果、こうしたものの残渣の撤去ということなんでしょうか。それから、ほかにもここにある制度についてどういう支援が可能なのか。

 例えば、鹿児島県においては、ソラマメ、それからスナップエンドウなどを中心に、これは十億円を超える被害が出ています。ここは、例えばビニールで対応できないわけですね、こういう作物というのは。

 では、これが新たに持ち出されたというのは非常にいいことだと思うんですけれども、この制度において今後農家が次の生産再開に向けて期待が持てる、それはどういう支援なのか、もうちょっと具体的に教えていただけますか。


 

○鈴木政府参考人 お答えをいたします。

 現在、被害を受けましたバレイショやソラマメ、こういったものは、そういうものが枯れて圃場にまだある、こういうような状態であります。次の作物をつくろうと思いますと、その枯れたものをどけまして、もう一度土を耕しまして、そしてその次の作、次にまたつくるものですとオクラとかそういうようなものをおつくりになられます。一つの農家の方でソラマメの後に次につくったりするものがあります。

 そういうものをつくるということになるわけですけれども、今ほど申し上げましたように、片づけるための経費とか、果樹の場合ですと剪定をして次に備えるというのがあります。そのための整枝といいますけれども、それを行うのに必要な経費、それから、次につくるための、次の作物の種苗とか肥料、こういったものを共同で購入して、つくるためにそういうものを購入しますけれども、共同購入するときの経費、こういうものを支援するということです。

 詳細につきましては、現在、鋭意検討中でございますので、細かいところについては、決まり次第、産地の方へ説明をしてまいりたいと考えております。


 

○田村(貴)委員 詳細が決まったらまた教えていただきたいと思います。

 ビワでいいますと、ビワ農家はこの五月の収穫に向けた果樹の世話を毎日一生懸命されてきたわけであります。既に堆肥やそれから袋かけ、ここに費用を費やしてきたんですけれども、ことしの収入が途絶えるとなっては全く価値のない投資になってしまいました。

 鹿児島県でも、先ほど言いましたように十億円を超える被害が出ています。そして、鹿児島県のソラマメなどは、共済の品目になくて補償が得られないといったところもあります。

 九州は、農業、基幹産業、第一次産業、非常に活発であります。この農家が栽培再開に踏み切れるように、政府は自治体としっかり連携して実効ある対策を進めていただきたいというふうに思います。

 加藤政務官、お越しになっておられます。一つは、森山農水大臣にお伝えいただきたいというふうに思います。大臣も鹿児島県の御出身で、農業問題、大変御承知のことだと思うんですけれども、九州に限らず、被害を受けたところは資料にも記しましたようにたくさんあります。現地を見ていただいて、そして高齢化とも言われている生産者の声を、そして自治体当局の声を聞いていただいて、早く打ち出していただいたこの事業が効果的に進められるように心からお願いしたいと思うんです。

 今、ちょっとやりとりを聞いていて、御所見があれば伺いたいと思います。


 

○加藤大臣政務官 お答えいたします。

 今般の降雪による被害について、農林水産省では二月三日から四日にかけて担当官を現地へ派遣しまして、農作物被害に関する現地調査を行ったところでございます。

 また、森山農林水産大臣も地元の鹿児島にお戻りになった際に、農協の組合長や生産部会長等の関係者からお話を直接伺うなど、被害の状況を把握されたと伺っておるところでございます。

 私自身も、地元長崎県の農協の組合長からの要望や県からの被害状況の報告等により、実情を把握いたしております。

 農林水産省では、こうした現地の情報や大臣の御指示を踏まえて、二月の二十三日に、速やかに営農再開に向けた残渣撤去、農業生産資材の導入等の支援、そしてまた、今回被災しながらも産地の収益力向上に取り組む意欲のある農業者に対しまして、パイプハウスの導入等の支援等を実施することを決定したところでございます。

 今後も、被災農家が一日も早く営農を再開できるよう、現地の声をお伺いしながら対策の実施を努めてまいりたいという考えでおります。

 以上です。


 

○田村(貴)委員 政務官も、地元の状況、要望については十分掌握されていると思いますけれども、格段の努力をお願いしたいと思います。

 

 次に、寒波による給水管の凍結被害、断水被害について伺いたいというふうに思います。

 資料の4に厚生労働省の資料をお配りしています。一月二十四日から二十六日の寒波の冷え込みによって、西日本一帯で給水管や配水管等の凍結による断水、それから管の破裂が多発しました。そして、大量の漏水によって配水池が水位低下を起こして、大規模な断水が発生しました。

(配布資料はコチラ)

 被害自治体や断水の状況について、簡単でいいですので、御説明いただけるでしょうか。


 

○福田政府参考人 お答えいたします。

 このたびの寒波の影響で、九州地方を中心といたしました西日本一帯では、一月二十四日から主に家屋の給水管の中の水が凍結をいたしまして、断水や管が破裂する被害が発生いたしました。加えて、管の破裂による漏水が一時期に集中いたしましたため、水道水をためておく配水池の水位低下が起こって、地域全体が断水した、そういった自治体もございました。一府二十県におきまして、最大で約五十万四千戸が断水をしたところであります。

 なお、自治体や漏水箇所を修繕する水道工事事業者等の御尽力によりまして順次復旧が進みまして、二月一日には全ての断水が解消されたところでございます。


 

○田村(貴)委員 今答弁ありましたように、最大時断水戸数が、一府二十県、八十三市五十五町三村、五十万四千四百七十九軒。びっくりしました。

 災害以外で、こんな大規模な断水がかつてあったことがあるんでしょうか。


 

○福田政府参考人 お答えいたします。

 例えば、平成二十三年一月から二月にかけまして、山口県、福岡県、長崎県等において、凍結により約七千戸の断水被害が発生した事例などございますが、過去十年間にさかのぼりましても、今回ほどの大規模な断水被害が発生した例は確認できてございません。


 

○田村(貴)委員 過去に例がないということであります。

 最も大きな被害を受けた福岡県の大牟田市、ここでは、給水管が破損して漏水し、配水池の水が枯渇するおそれがあるため、一月二十六日の午前零時から市内全域約五万五千世帯への給水が停止しました。このほか、ライフラインが断たれる重大事が西日本を中心に広範囲に広がったところであります。

 先日、大牟田市で集会がありまして、私行ったんですけれども、参加者から、断水で大変不自由した、これは人災でなく天災である、水道管補修の全額自己負担は大変苦しい等々の切実な声が寄せられたところであります。

 お伺いをします。

 国として、今度の寒波襲来に際して、自治体等に水道管の保護等の警戒、呼びかけはあったんでしょうか。そういう保護とか対策を呼びかけたということをされたでしょうか。


 

○福田政府参考人 お答えいたします。

 政府といたしましては、一月二十一日に気象庁予報部発表におきまして、水道管の凍結に注意していただきたい旨の発信がされているところでございます。

 厚生労働省におきましては、このたびの寒波による凍結被害状況を把握した後、直ちに各水道事業者に対しまして、給水管等の凍結によります断水被害の防止に係る措置について事務連絡等を発したところでございます。

 具体的な内容でございますが、水道事業者等に対しまして、西日本において給水管凍結によります破損事故の多発や配水池水位の低下の発生していることを情報提供するとともに、事業者に対しまして、凍結防止策の情報提供と配水池の監視等によります被害状況の早期把握に努めるように依頼をしたというものでございます。


 

○田村(貴)委員 一月二十六日に事務連絡されているんですよね。一月二十六日に状況把握してください、どうなっていますか、これは遅いわけなんですよ。だって、もう二十四日から凍結しているわけなんですからね。断水、給水制限となっている状況で注意を喚起しても、遅いわけなんです。

 今シーズンの寒波到来は早くから天気予報等で伝えられていました。水を扱っていながら、大寒波が訪れたらその水がどうなるかというのは十分に予測できることだったと思います。少々情けない思いも私は感じています。

 今後はぜひ緊張感を持って、そして警戒、注意を自治体等に呼びかけていただきたいというふうに思います。全く油断していたということが自治体関係者、住民からも言われるところです。私だって、こんなことになるとは思いませんでした。ぜひ、国の方から、行政からも早い手だてを、警戒を呼びかける、そういう対策をしていただきたい、これは要望にとどめておきます。

 今後、寒波による被害を未然に防ぎ、住民のライフラインをしっかり守っていくことが何より大切だというふうに思います。凍結とか断水の被害に遭った自治体、そうでない自治体も含めて、これからは、こうした被害を想定したマニュアルづくりが必要になってくるというふうに思います。

 そうした状況の中で、寒冷地では当たり前の対策だけれども、全国多くの地域では、例えば給水管を覆うとか温めるとか、そうした対策はとられていません。こうした対策に向けて、国としてこれからどういう支援をされていくのか、お伺いしたいと思います。


 

○福田政府参考人 お答えいたします。

 このたびの被害を踏まえ、たとえ温暖な地域の水道事業者であっても、適切な水道施設の凍結対策を講じるとともに、給水管の凍結対策について需要者への啓発や注意喚起を積極的に行っていく必要があると認識をいたしております。

 厚生労働省としては、今回の被害の検証を行うとともに、寒冷地におきます実例も踏まえまして、凍結の予防策や需要者への効果的な情報提供の方策などにつきまして、全国の水道事業者へ周知を図っていく所存でございます。


 

○田村(貴)委員 早目早目の手だてをお願いします。

 大規模な漏水等々による断水を速やかに復旧させる上で、水道事業の現場においては、専門的な知識を持った職員、それから技術が必要になってまいります。それを支える水道職員の体制というのは今どうなっているでしょうか。

 厚生労働省、新水道ビジョンの「水道の現状評価と課題」において、水道事業を支える職員数について言及がなされています。その部分、紹介していただけるでしょうか。


 

○福田政府参考人 お答えいたします。

 平成二十五年三月に厚生労働省が公表いたしました新水道ビジョンの「第三章 水道の現状評価と課題」というところにつきまして、以下のような記載がございます。

 御紹介申し上げますと、「水道事業を支える職員数は、これまでの徹底した組織人員の削減に加え、団塊の世代といわれた職員が大量に退職していることもあり、深刻な人員不足に直面しています。職員一人当たりが受け持つ利用者の数は年々増加する一方で、経験豊富な職員の空洞化が生じています。このような状況の下、日々の経常的な水道サービスに加え、事故時の迅速な対応や地震等災害時の緊急対応などによっては、これまでに培ってきた地域の利用者の信頼を損ねることになりかねません。」

 以上でございます。


 

○田村(貴)委員 「深刻な人員不足に直面」「経験豊富な職員の空洞化が生じ」「日々の経常的な水道サービスに加え、事故時の迅速な対応や地震等災害時の緊急対応などによっては、これまでに培ってきた地域の利用者の信頼を損ね」かねない。これは非常に深刻ですよ。水道課の評価についてここまで書かれているわけです。

 厚生労働省の水道課にお伺いしました。今回の寒冷で百戸を超える断水が発生したんですけれども、そうした百戸を超える断水が発生した町村の水道事業職員数、一体何人でやっているのかと聞いたら、平均で五人だと言うんですね。これで対応をやっていけるのかなと思いました。

 それから、水道事業における職員というのは、ピーク時、一九八〇年から二万一千人も減って、今、五万三千人まで減らされてきたということであります。

 老朽化した水道管の問題もあります。それから、今後の大雪、寒波による水道管の凍結あるいは断水、いつ起こるかわかりません。水道事業に当たる職員を計画的にふやしていくべきだというふうに私は考えます。

 ちょっと時間がありませんので、最後の質問に入らせていただきます。

 今度、地方交付税の改正で、二〇一六年度では五%へ、二〇一七年度では四%へとした規定を廃止して、特別交付税の割合を四%から六%に改めようとしています。これは、災害対策に万全を期すとの観点に立った改正としています。

 この間、大きな災害が日本列島を襲っています。後で梅村議員からありますけれども、鬼怒川の氾濫、火山の噴火、それから土砂の崩れ、こうした災害から、住民の暮らし、それから生命財産を守っていくために自治体が果たすことは、その努力は非常に重要だというふうに思います。だからこそ、国の支援が必要だと思います。

 特交を六%にするということは、特別交付税の規模の拡大にはなりません。しかし、この法改正の趣旨に基づいて、思いも寄らぬ災害や異常気象で自治体と住民生活の損害を受けたときに、これは、自治体の財政事情などを踏まえて交付税の算定等に国は努力をしてほしい、そういう対応に当たってほしいと私は考えますけれども、大臣、いかがでしょうか。


 

○高市国務大臣 きょうはさまざまな事例をお伺いいたしました。

 地方団体の除排雪経費の所要見込み額が普通交付税措置額を超える場合には、三月分の特別交付税によって措置することにいたします。しっかりと対処いたします。

 それから、雪害を含む冷害などによる特別の財政需要に関しましては、農林水産省の被害調査の結果に基づく農作物被害額を指標として、特別交付税措置を講じてまいります。

 さらに、地方団体が行う水道管の復旧事業に要する経費については、災害復旧事業債を起債し、後年度の元利償還金に対しては特別交付税措置を講じます。

 いずれにしましても、近年、自然災害が多発しておりますので、被災団体の応急対策や復旧対策に相当財政負担が生じておりますので、よく実情をお伺いしながら対応をしてまいります。


 

○田村(貴)委員 よろしくお願いします。

 終わります。