193-衆-総務委員会 熊本地震関連死防げ 田村貴議員、対策強化求める

○田村(貴)委員 日本共産党の田村貴昭です。
 所信表明で高市大臣は、熊本地震や台風十号などの災害に触れ、国民の生命、生活を守るとして、被災自治体の財政運営に支障が生じることのないよう、適切に対応してまいりますと述べられました。
 きょうは、公共施設の耐震化と災害関連死対策について質問をいたします。
 熊本地震では、地域医療の中核を担ってきた熊本市民病院が損壊しました。入院患者は、転院を余儀なくされ、転送中あるいは転院先で容体が悪化し、命を落とす例もありました。
 消防庁にお尋ねします。
 防災拠点となる診療施設の耐震化の状況について、説明をしていただきたいと思います。


○大庭政府参考人 お答えします。
 平成二十七年度末時点の耐震化状況調査結果におきましては、防災拠点となる公共施設等としての診療施設につきましては、二千七百六十四棟のうち、八八・〇%に当たる二千四百三十三棟が耐震化されている状況でございます。


○田村(貴)委員 すなわち、三百三十一の自治体医療施設がいまだ非耐震の状況にあるということであります。
 熊本市民病院は、一部が旧耐震基準でつくられた建物でありました。四歳の女の子の命が亡くなった悲しい話があります。命を守る病院がその使命を果たすことができなかった痛苦の教訓について、高市大臣、ちょっとお話を聞いていただきたいと思います。
 四歳の女の子が入院していたんですけれども、心臓の病気で手術をし、そして肺炎となって集中治療室で治療に当たっていた。そんなやさきに熊本地震が襲いました。入院患者さんは、退院し、あるいは転院を余儀なくされたわけであります。
 この女の子は、救急車に乗って、手厚い医療スタッフに囲まれて、百キロ離れた福岡の病院に転院をいたしました。渋滞です。そんな中、二時間かけて病院に着いたわけでありますけれども、転院から五日後に息を引き取られたということであります。回復して幼稚園の入園を楽しみにされていたということであります。
 大臣、この女の子のお父さんは、病院さえ機能してくれれば移動する必要はなかった、お母さんは、病院は災害の際に命を救う拠点である、同じことを繰り返してほしくない、そうしたコメントが報じられているところであります。
 災害時にかけがえのない役割を果たす自治体病院がしっかりとその機能を果たせるように、直ちに一〇〇%の耐震化に踏み出すべきではないでしょうか。いかがでしょうか。


○高市国務大臣 今委員がおっしゃった、かわいい盛りの、そしてまだ長い将来のあるお子さんがお亡くなりになったこと、心からお悔やみを申し上げます。
 公立病院を含めての診療施設でございますが、災害発生直後から被災者の方々に必要なサービスを展開する拠点となりますので、耐震化によって業務継続を可能とするということは極めて重要でございます。
 耐震化を含めた病院施設の建設改良に要する経費については、病院事業債が活用可能でございますが、その元利償還金については、地方交付税措置を講じています。
 このうち、医療計画において災害拠点病院等として位置づけられた公立病院の耐震化に要する経費に関する起債については、通常よりも充実した地方交付税措置を講じております。
 こうした財政支援を活用していただいて、地方公共団体におかれましては、必要とされる耐震化をしっかりと進めていただきたいと考えていますので、引き続き取り組みを支援してまいります。


○田村(貴)委員 この女の子にとってみたら、長時間の搬送に耐えられる容体ではなかったんだろうというふうに思うわけです。
 実は、熊本市は、震災前の二〇一五年度中に病院の新築工事に着手する予定でありました。しかし、直前に延期を決めたんですね。なぜなんでしょうか。
 これは、建設需要の高まりから資材が高騰して、建設費が当初よりも大幅に膨れ上がってしまった、それで延期を決めざるを得なかったということであります。
 耐震化に踏み出したくてもなかなかできない、こうした背景があることもぜひ知っていただきたい。念頭に置いて、自治体を財政面から支援していく必要があると思いますけれども、総務省、いかがでしょうか。


○黒田政府参考人 お答えいたします。
 先ほど大臣から答弁がございましたように、耐震化を含めました病院施設の建設改良に要する経費につきましては、病院事業債が活用可能でございます。その元利償還金に対する一般会計からの繰り出しにつきまして、地方交付税措置を講じるという形になっております。
 特に、医療計画において災害拠点病院等として位置づけられました公立病院の耐震化に要する経費に関する病院のこの事業債につきましては、一般会計からの繰り出しの割合を高めますとともに、その繰り出しについて、通常よりも充実した地方交付税措置を講じているという状況でございます。
 それぞれの公立病院におきましては、こうした地方財政措置も念頭に置きながら、必要とされる耐震化を進めていただきたいと考えております。


○田村(貴)委員 前の委員会では、庁舎の耐震化についてお伺いしました。きょうは、病院の耐震化についてお尋ねしました。
 防災拠点となる公共施設というのは、ほかにもたくさんあります。社会福祉施設、文教施設、体育館等々であります。警察の庁舎もそうであります。そのいずれもが一〇〇%に至っていません。全体で一割、一万六千六百二十四の施設がいまだ非耐震という状況にあります。全ての公共施設の耐震化が達成するように強く求めたいというふうに思います。
 先ほどの女の子の御両親は、災害弔慰金を申請して、災害関連死が認められました。きょうは、その災害関連死、そしてその対策について尋ねていきたいというふうに思います。
 避難生活の疲労や環境の悪化などによって、病気にかかったり持病が悪化するなどして死亡する災害関連死、この災害関連死というのは、阪神・淡路大震災で九百二十二人と言われています。新潟県の中越地震では五十二人、東日本大震災では三千五百二十三人。そのたびに大きな問題となってまいりました。熊本地震では、今現在、百四十四人に上っているところであります。
 多くの国民の知るところとなった災害関連死、震災関連死という言葉でありますけれども、どうやら政府においては統一した見解になっていないというふうに思われます。
 まず、復興庁にお尋ねします。
 東日本大震災における災害関連死の定義づけはどうなっているんでしょうか。集計はどうされていますか。お答えいただきたいと思います。


○関政府参考人 お答えいたします。
 東日本大震災における震災関連死の調査についてでございますが、復興庁として、平成二十四年三月以降、半年に一度、各都道府県を通じて市町村ごとの数字を調査、集計して公表しております。
 この調査におきます震災関連死の定義でございますが、建物倒壊や津波による直接的、物理的な原因ではなく、震災による負傷の悪化や避難生活等の身体的な負担による疾病により死亡し、災害弔慰金の支給対象となった方ということで、調査を行っているところでございます。


○田村(貴)委員 集計について、今、御答弁ありましたか。


○関政府参考人 お答え申し上げます。
 今申し上げましたが、半年に一度、各都道府県を通じて市町村ごとの数字を調査、集計して公表しているということでございます。


○田村(貴)委員 わかりました。
 今、統括官が答弁されたことについては、お配りしている資料の1にその資料がございますので、委員の皆さん、御確認いただければと思います。
 それでは、またお尋ねしますけれども、復興庁はこの震災関連死をなぜ定義づけすることになったのか、その背景と理由について説明していただきたいと思います。


○関政府参考人 お答えいたします。
 東日本大震災における震災関連死でございますが、震災後、被災地などからさまざまな情報が私どもにも寄せられておりました。そういう中で、平成二十四年二月に復興庁ができまして、三月にこの調査を行ったという経緯でございます。
 また、その結果を踏まえまして、助かった、助けられた命の中で、お亡くなりになっている方がいらっしゃることを真剣に受けとめまして、将来の災害に向けた対応策などを検討する必要があると考えまして、関係府省を構成員とします震災関連死に関する検討会を設けて分析をし、これまで調査も進めてきた、こういう経緯でございます。


○田村(貴)委員 自治体などからさまざまな震災に関連しての死亡事例等情報が寄せられた、これを真剣に受けとめる必要があった、そして対応が必要になったといったところのお答えであったなというふうに思います。これは、震災の教訓から得られた重要な前進ではないかなというふうに私は受けとめました。
 それでは、内閣府防災の方にもお尋ねします。
 東日本大震災以外の災害においては内閣府防災の所管に当たるというふうに思いますけれども、震災関連死、災害関連死という表現を組織内で用いておられるでしょうか。その定義づけはされたんでしょうか。また、今復興庁がお答えになりましたけれども、災害関連死の取りまとめをしておられるんでしょうか。お答えいただきたいと思います。


○緒方政府参考人 お答えいたします。
 内閣府といたしましては、災害によりお亡くなりになった方の御遺族に対しまして支給をしております災害弔慰金につきまして、年度ごと、災害ごとに、支給件数及び支給額につきまして取りまとめを行っております。
 その中では、お尋ねのございました災害関連死ということにつきましては定義づけはございませんので、災害関連死の数についての取りまとめもないところでございます。


○田村(貴)委員 私、内閣府防災の方に、例えば熊本地震における災害関連死の数について取りまとめを資料としてお願いしますとしたら、お持ちいただいた資料は、熊本県のホームページに載っているものをプリントアウトして持ってきていただきました。
 それを見ますと、分類の1というところは、「警察が検視により確認している死者数」、これはいわゆる直接死と言われるものですね。二番目、「災害による負傷の悪化又は避難生活等における身体的負担による死者」となっています。3として、「2のうち市町村において災害弔慰金法に基づき災害が原因で死亡したものと認められたもの」というふうになっています。
 この3の数が、いわゆる災害関連死者の数としてマスコミなど世間的に用いられている数字ということで理解していますけれども、それでよろしいでしょうか。


○緒方政府参考人 お答えいたします。
 内閣府といたしましては、先ほど申し上げましたように、災害関連死自体を定義づけてはいないところでございます。
 お尋ねいただいております資料でございますけれども、熊本県におかれまして記載がありましたとおり、災害による負傷の悪化または避難生活等における身体的負担による死者のうち市町村において災害弔慰金法に基づき災害が原因で死亡したものと認められたもの、この数を分類されたものと受け取っております。


○田村(貴)委員 はっきりしたのは、内閣府防災においては災害関連死、震災関連死の定義づけをしていない、したがって、その数については掌握をしていないということですけれども、熊本県の発表によって、こういう分類からしたら、災害関連死というのは大体3になるということになると思います。
 東日本大震災においては、災害関連死、震災関連死の定義はあるんですけれども、それ以外の災害においては、この定義がなされていないということであります。
 そこで、内閣府にまたお尋ねしますけれども、長い歴史の中で災害が幾つも起こり、そして近年は、阪神・淡路大震災から始まって、災害関連死、震災関連死というのが多くの国民の知るところになっています。学界や、あるいはマスコミの報道でも、この言葉はたくさん用いられています。災害関連死を生まないためにという施策も、去年の熊本地震でも、そして東日本大震災でも、復興庁は取り組んでこられたんです。
 私は、復興庁の先ほど述べていただいた定義というのは、これは政府全体のものとして考えていいのか、そこで今疑問があるわけなんですけれども、内閣府はどういうふうに捉えているんでしょうか。


○緒方政府参考人 お答えいたします。
 災害関連死の定義ということでございますけれども、大切なことは、災害が直接的な原因となる以外で亡くなる方を少なくしていくことだというふうに考えております。
 避難所等での厳しい生活環境がその後の健康状態にも影響を及ぼすため、今般の熊本地震におきましては、避難所の暑さ対策等の環境整備や、応急仮設住宅への早期の入居に努めていったところでございます。また、災害発生後は、避難している方の心身の健康管理が大変重要であり、保健師などが中心となりまして、避難所や公園、駐車場等を巡回し、健康状態の把握、心のケアなどを実施したところでございます。
 災害時の対応につきましては、災害の規模、態様、発生場所などが千差万別であるためにさまざまでございますが、過去の災害における知見などを生かし、災害が直接的な原因となる以外で亡くなる方が一人でも少なくなっていきますように、今後とも、政府、自治体、関係者がしっかりと連携して取り組んでまいります。


○田村(貴)委員 災害後に亡くなる方をなくしていくことについては大事である、共有できますよね。そして、そのための対策も大事であるし、対策もとってきている。私は、やはり構えと予算措置の点で復興庁との違いがあるというふうに思うわけなんです。
 高市大臣、今お話を聞いていただいたと思うんですけれども、災害関連死は本当に多くの国民の知るところとなっています。しかし、政府の受けとめは今二通りであります。一つは意義づけをする、しかし、一つは定義づけをしないといったところであります。
 私は、被災者が災害によって受ける施策というのが変わってはいけないというふうに思うんですけれども、大臣は、今お話を聞いて、いかがお感じになりましたでしょうか。


○大庭政府参考人 災害による被害状況の把握、情報収集は、私どもとしましても災害応急対策を進める上で重要な情報でありまして、消防庁は、市町村からの情報をもとに都道府県が取りまとめた報告を受け、取りまとめを行っております。
 その中で、人的被害の状況は重要な情報でございますので、全国で統一的な運用が図られるよう、災害報告取扱要領やその運用に係る通知におきまして、死者の定義を「当該災害が原因で死亡し、死体を確認したもの又は死体は確認できないが、死亡したことが確実な者」とした上で、「当該災害による負傷の悪化又は避難生活等における身体的負担による疾病により死亡し、災害弔慰金の支給等に関する法律に基づき災害が原因で死亡したものと認められたもの」につきましても、市町村の方で死者として計上することをお願いしているところでございます。
 引き続き、被害状況の迅速、正確な把握に努め、適切に対応してまいりたいと考えております。


○田村(貴)委員 大臣の方はちょっと今手が挙がらなかったんですけれども。
 先ほど復興庁の方から話があったんですけれども、復興庁の震災関連死に関する検討会の報告書、その趣旨にこういうくだりがあります。「「助かった、助けられた命」の中で、お亡くなりになっている方がいることを真剣に受け止め、将来の災害に向けた対応策等を検討する必要があると考えた。」ここが私は重要だと思うわけです。助かった、助けられた命をその後の生活において失わせない、この行政の決意というのが非常に大事だというふうに思うわけです。
 結果は、災害弔慰金を申請して受け取られた方が震災関連死、災害関連死として数としてはなるんだけれども、では、その数を把握する中で、どういう災害だったのか、直接死があって、災害関連死が生まれそうになっているこの事態をどうやって防いでいくのか、先ほどの女の子みたいな悲劇を繰り返さないためには何に今手を打っていかなければいけないのか、この教訓を一つ一つの災害でちゃんと前に進めていかなければいけないと私は思うんです。ですから、いつまでたってもこの問題は続いていっているわけなんですよ。
 復興庁の取り組み、もうちょっとお伺いしたいと思うんです。
 資料の2、お配りしています。被災者支援総合交付金事業、復興庁の取り組みであります。

(配布資料はコチラ)

 各省庁が一緒になってやっているわけなんですけれども、今年度は二百億円であります。被災者支援の施策を自治体が企画立案し、そして政府が全額交付する、このスキームになっています。これは、自治体にとってみたら、災害を受けたところは大変助かる制度だというふうに思うわけです。この被災者支援総合交付金事業についてお伺いします。
 避難生活の長期化等に当たって、被災者の生活再建を切れ目なく支援するというふうに図られています。災害関連死、震災関連死を生み出さないという点では、どのような施策を行っているんでしょうか。


○関政府参考人 お答えいたします。
 御案内のとおり、今なお約十二万七千人の方々が避難生活を余儀なくされております。避難の長期化や、あるいは災害公営住宅などへの移転など、復興の進展に伴う新しい課題への対応が必要になってまいります。
 そういう復興のステージ、地域の実情に応じた対応をきちんとするために、今御紹介いただきました被災者支援総合交付金を用いまして、自治体などによる被災者支援に関する取り組みを一体的に支援しているところでございます。
 具体的には、まず被災者の見守り、あるいは住宅再建、生活再建に向けた相談支援、あるいは、被災者の方々の移転に伴うコミュニティーの形成や既存のコミュニティーとの融合など、生活の重要な要素であるコミュニティー形成の支援、人と人とのつながりをつくり、生きがいを持って暮らしていただくための心の復興などについて支援をしております。
 こういうものが被災者の方々が抱えておりますストレスを軽減して、あるいは不安を軽減して、それぞれの方々が地域においてしっかりとした心身のケアを受けていただいて、新しい取り組みを、それぞれの方々に生活を充実していただくということで進めてきているわけでございまして、我々は、引き続き、自治体など関係のところと連携をしましてこの取り組みを進めてまいりたいと考えております。


○田村(貴)委員 わかりました。
 やはり大事なのは、被災者の生活不安、それからストレスの解消といった中で、こうした取り組みをされているということであります。
 それで、この交付金事業の成果についてはどのように掌握されているでしょうか。


○関政府参考人 お答え申し上げます。
 具体的な取り組み事例なり成果でございますが、私どもいろいろ伺っておりますと、まず、仮設住宅におきまして、巡回して高齢者の方々の見守りをしていただいているケースがございます。また、災害公営住宅の整備状況に関する情報を提供申し上げたり、専門家の方による生活再建の相談をしている、こういう事業もございます。
 また、災害公営住宅の入居者の交流会の開催や、自治会の立ち上げに対する支援も行っている。あるいは、手工芸品の制作を行う取り組みや男性向けの料理教室、さまざまな取り組みがその地域の実情に応じて進められているということでございまして、それぞれの地域の方々からお話を伺いますと、一定の成果を上げていただいているものと認識をしております。


○田村(貴)委員 一定の成果が上がっているというお答えでありました。
 熊本地震の場合は、犠牲者に占める震災関連死の割合は七一・二%、これは非常に高いわけですね。阪神・淡路大震災の一四・三%、東日本大震災の一五・九%に比べても非常に高い割合になっています。
 こうした関連死をやはり生まないように、被災者に寄り添ったフォローが求められます。それは行政と人間の手によって必ず達成できるというふうに思うわけです。
 内閣府の方にお尋ねしますけれども、今、復興庁からあったこの意義づけ、取り組み、検討それから事業、これは参考になる話ではないかなと思うんですけれども、いかがですか。参考になりませんか。その一点でいいです。参考になるべき取り組みかどうか。評価はどうですか。


○緒方政府参考人 お答えいたします。
 復興庁がやっておられます、過去の災害、東日本大震災を受けた課題とか原因を分析して今後の対策に生かしていくという取り組みにつきましては、非常に重要なことだと思っております。
 私どもといたしましても、大変参考になっていくものというふうに認識をいたしております。


○田村(貴)委員 やはり、家を失った、財産を失った、家族を亡くした、その被災者というのは、その災害が風水害あるいは雪害、あるいは地震であろうと火事であろうと、それは変わりないわけです。みんな同じ苦しみの中にあるわけです。そして、寂しくなり、生活不安を抱え、ストレスを抱えてしまう。それによって心身が弱まってしまって、持病が悪化して亡くなってしまうということが起こっていくわけなんですね。これをなくしていくためには、やはり制度をしっかりつくる必要があるというふうに思うわけです。
 高市大臣にお伺いします。
 今、ずっと議論してまいりました。役所によって判断は変わるわけなんですけれども、私は、やはり被災者の気持ちに政治がしっかりと寄り添うことが何よりも大事であります。災害の規模で、東日本大震災は、それはもう未曽有の、空前の大災害であったから、復興庁が立ち上がってこういうケアをしている。だけれども、ほかの災害においても同じことが言えるのではないかなというふうに思います。
 被災者の見回り、相談、心のケア、介護サポート、健康支援などの事業というのは、二百億円からの予算措置で、そして一〇〇%交付している。やはりこのような気構えというのは大事なものだろうというふうに思うわけです。オール・ジャパンの制度とすべきだと私は考えますけれども、大臣、いかがでしょうか。


○高市国務大臣 どのような災害であっても、被災者の方お一人お一人の生活再建、日常生活への復帰を支援していくということは大変重要でございます。
先ほど来説明のありました復興庁による被災者支援総合交付金というのは、東日本大震災の被災者の避難生活の長期化という課題を踏まえたものだと認識をしています。
 具体的に必要となる対応方策というのは個々の災害ごとにさまざまでございますけれども、今後の災害において、災害関連死の方々が少しでも少なくなりますように、例えば心のケアでしたら、それを所管する厚生労働省において、被災地方公共団体の御意見も伺いながら検討をいただきたいと思いますし、内閣府防災には、政府全体を見渡せる立場としてリーダーシップをとっていただきたいと存じます。


○田村(貴)委員 助かった、助けられた命の中でお亡くなりになっている人がいる。ここを真剣に受けとめる、そして対応策をつくっていく、これがやはり大事だというふうに思います。
 東日本大震災でやられているこのソフト事業を、では、熊本地震はどうなのか、ほかの災害ではどうなっていますかと聞いたときに、ちゃんと答えて、まとめて対策を打っている人はいるんですか。その部署はないですよね。だから私はこの施策が大事だというふうに思うわけです。
 災害の規模の大小でいうならば、私は、東日本大震災も、それから熊本も、台風十号も、被災者にとってみたらやはり同じ苦しみの中にあるというふうに思います。
 被災者がせっかく助かった命、失われないように、その対策に国がイニシアチブをとっていくこと、そして、災害関連死について復興庁が検討してきた、そして施策を展開してきた、こうした経験を共有して、政府が役割を果たしていただく、しっかりと災害関連死対策、震災関連死対策を構築していく、そのことを強く求めて、きょうの質問を終わります。ありがとうございました。
 終わります。