193-衆-総務委員会 南阿蘇鉄道復旧促す 田村貴氏に 総務相「しっかり対応」

田村(貴)委員 日本共産党の田村貴昭です。
 熊本地震の復興と被災者の支援について質問をします。
 熊本地震で被災した南阿蘇鉄道は、全線の約六割が不通となっており、部分運行であります。
先月二十八日、熊本県と第三セクター南阿蘇鉄道、そして株主の地元五町村は、南阿蘇鉄道再生協議会を設立しました。
 まず、国土交通省にお尋ねします。
 被害調査は、地元の要望も受けて、国直轄で行われました。国交省もこの協議会に参加し、説明をされたというふうに伺っております。被害の状況について、簡単に御説明いただけるでしょうか。
〔委員長退席、坂本(哲)委員長代理着席〕


潮崎政府参考人 お答えいたします。
 南阿蘇鉄道の高森線については、お話ございましたとおり、熊本地震でトンネルや渓谷にかかる橋梁が大きく移動、変形するなど、鉄道施設に被害が発生いたしました。
 具体的には、立野という駅と長陽という駅、この間で、計二十二カ所でトンネルや橋梁の損傷、斜面の崩壊が発生しました。特に大きな被害としては、犀角山トンネルというトンネルにおきまして、この地山自体が動いたことによりこのトンネルにゆがみが生じ、また、それに伴い内部の壁面コンクリートの剥落等が生じたこと、また、白川第一橋梁という非常に大きな橋梁がございますが、この橋梁の橋台や橋脚が移動してしまって、それに伴う部材の破断や変形などが生じたということでございます。
 また、不通区間のうち、中松と長陽の間においても計二十カ所で盛り土や軌道に変状が発生してございます。


田村(貴)委員 復旧の見通しと復旧費用についてはどのように見ておられるでしょうか。


潮崎政府参考人 被害状況と復旧に関する調査を国直轄で行ってまいりまして、トンネル周辺の地山の変動や橋梁部材の健全度並びに被災した構造物の復旧方法の検討に関する調査を行ってまいりました。
 その結果として、復旧の見通しにつきましては、先ほど申し上げました第一白川橋梁では設計着手から約五年程度、またトンネルでは三年程度、その他の被災箇所につきましては一年程度の期間を要するであろうと。
 また、復旧費用につきましては、これら全体で総額約六十五億から七十億円という見込みになってございます。
 これら工期や費用につきましては、今後、さらに詳細設計等を行うことにより精査されていくものと考えております。


田村(貴)委員 復旧費用が六十五億円から七十億円と。
 これは従前の支援策では復旧は不可能だという話を、私も先月二十九日、鉄道事業者の方からお話を伺ってまいりました。地元では、東日本大震災における三陸鉄道と同様の支援を切望されています。すなわち、災害復旧事業費の国庫補助率のかさ上げで、国と自治体がそれぞれ四分の一、事業者が二分の一の制度を、国が二分の一にかさ上げし、自治体負担二分の一に対して交付税措置をするというものであります。熊本県からも国に要請があっているものと思います。
 そこでお尋ねしますけれども、東日本大震災での第三セクター鉄道への新設された支援では、復興費が収入を上回るような大きな規模で、かつ経営が赤字基調の鉄道が対象とされました。これは南阿蘇鉄道の被災状況に照らしても適用は可能ではないかと思いますけれども、いかがでしょうか。また、その際の条件について教えていただけますでしょうか。


潮崎政府参考人 ただいま委員からお話ございましたとおり、東日本大震災では、被災した三陸鉄道を初めとする第三セクター鉄道に対しまして、通常の鉄道軌道整備法に基づく支援制度とともに、追加的な支援を行いました。
 具体的には、その内容でございますが、東日本大震災により過去にない極めて甚大な被害が発生したことに鑑みまして、お話にもございましたが、復旧費が鉄道の年間収入を上回る額であること、また、過去三年間の各年度において鉄道事業及び全事業が経常損失もしくは営業損失を生じていることなど経営状況が厳しく、また、さらにこれに加えて、鉄道事業者が復旧した鉄道施設を地方公共団体が保有する、こうしたことなどが整った場合に、国及び自治体の補助率を、補助対象事業費のそれぞれ二分の一ずつの補助をするということにしたものでございます。
 南阿蘇鉄道の復旧に向けた支援につきましては、さらに被害の規模ですとか事業者の経営状況等をよく踏まえまして、その内容や要件等を今後検討していく必要があると考えております。


田村(貴)委員 検討が必要だといったところもありました。
 総務省にお伺いします。
鉄道の災害復旧事業において補助災害復旧事業が適用できるとするならば、その基準について説明をしていただけますか。
〔坂本(哲)委員長代理退席、委員長着席〕


黒田政府参考人 お答えします。
 ただいま御答弁がございましたように、現時点では、この国庫補助のスキームについて検討中ということでございましたので、一般論としてお答えいたします。
 法律に基づく措置はもとより、特別な予算措置によりまして国が事業費の一部を補助する場合には、第三セクターであります南阿蘇鉄道の災害復旧事業の地方負担に対しまして補助災害復旧事業債を充当することは可能でございます。


田村(貴)委員 はい、わかりました。
 南阿蘇鉄道、利用者が年々ふえてきている、中でも外国人旅行者の利用がすごく伸びているという話もお伺いいたしました。トロッコ列車は阿蘇観光地のシンボルでもありますし、通勤通学を初め沿線住民の貴重な足ともなっていました。部分開通によって、この乗客が一八%まで縮減したという話もお伺いしました。全線復旧は被災地を大いに励ますものだというふうにも思います。
 私たち日本共産党もせんだって政策を発表しましたけれども、被災した道路や橋というのは必ず復旧されます。しかし、災害に遭って鉄路が途絶えてしまうということも過去多くありました。鉄道も橋や道路並みに必ず復旧されて当然だというふうにも思います。
 再び国交省にお伺いします。
 南阿蘇鉄道再生協議会から正式な要請が今後寄せられるというふうに思います。全線復旧に向けて、可能な限りの支援をとっていただきたいというふうにも思います。復旧させなければならない、同じ思いだと思いますけれども、いかがでしょうか。


潮崎政府参考人 ただいま委員からお話ございましたとおり、地元からの御要望等、私どもも重々承知をしてございます。支援に向けての要望ということがその中にあることも、承知をしてございます。私どもも、そうした地元の要望や今回の調査結果、まだ詳細、少しこれから詰めてまいりますが、この調査結果を踏まえつつ、鉄道事業者やあと沿線の自治体など関係者と協力をしながら、今後、早期復旧に向けてどのような支援ができるのか、検討してまいりたいと考えております。


田村(貴)委員 国交省の支援スキームが決まったら、高市大臣、これは交付税措置の話にも及んできます。国交省と連携して支援に力を尽くしていただきたいと思いますけれども、いかがでしょうか。


高市国務大臣 総務省としましては、今後、地元の御要望をしっかりと受けとめながら、国土交通省から補助スキームに関する具体的なお話を伺った上で、被災団体の財政運営に支障が生じないように、地方財政措置についてもしっかりと対応してまいります。


田村(貴)委員 しっかりお願いしたいと思います。
 次の質問は、熊本地震で被災した家の、住宅の支援についてお伺いします。
 質問の順番をちょっと変えます。最初に国土交通省にお伺いします。
国交省の宅地耐震化推進事業、擁壁の被災を復旧するこの制度について、熊本地震では拡充されました。しかし、盛り土高二メートル以上、それから盛り土上に存在する家屋二戸以上というのは、対象外となるところが結構ございます。弾力な運用をぜひともお願いしたいと思いますけれども、いかがでしょうか。


廣瀬政府参考人 お答えいたします。
 熊本地震では多くの宅地被害が生じたところでございまして、被災者の方々の気持ちに寄り添いながら宅地復旧の支援が必要というふうに考えております。
 宅地復旧に当たりましては、国の宅地耐震化推進事業と県による復興基金での対応、両方あわせて支援策が講じられることが大切だと考えておりまして、国の事業では対応できない宅地被害は基金により対応を行っていただくこととしております。
 この宅地耐震化推進事業につきましては、平成二十九年度から、これまで盛り土高さ五メートル以上、さらに五戸以上となっていた要件を、二メートル以上、二戸以上の宅地も対象とするなど、制度の拡充を図ったところでございます。
委員御指摘の、地方部では家と家の間が離れているなどさまざまなケースがございまして、現在、熊本県、各市町村において、宅地復旧を行いたいという住民の方々の相談を受け付けているというところであります。
 今後、このような相談をもとに、県とも連携しながら宅地耐震化推進事業の的確な運用を図ってまいりたいというふうに考えております。


田村(貴)委員 二戸以上、それから二メートル、ここの基準が非常に厳しい。今、復興基金との兼ね合いのお話もありました。ぜひ熊本県と、この制度が被災地、崖崩れ、擁壁の回復に全面適用になるようにお願いしたいと思います。
 それで、熊本地震による住家の被害ですけれども、五月二日現在、全壊が八千六百六十四、半壊が三万四千二十六、一部損壊十四万七千七百四十二、一部損壊の割合は七七・五八%であります。
 県庁所在地、熊本市の住宅被害は、同じく全壊が二千四百五十四、半壊が一万五千百六十三、一部損壊九万八千五百九十三、一部損壊の比率は実に八四・八%となっております。
 一部損壊が圧倒的に多いのが熊本地震の特徴であります。これは、何度も私、本委員会でも指摘をしてまいりました。しかし、国の支援がないのです。支援を求める被災者の声に政府は背中を向けているわけであります。
 熊本市の罹災証明書の交付件数依頼を見てみたいと思います。一次の申請が十二万六千八百九十一件、二次の申請が三万七千三百二十一件、二次調査の再調査、いわゆる三次調査が二千五百二十八件にも上っております。半壊以上でないと、応急修理代も義援金も出ません。条件はありますけれども、応急仮設住宅の入居もできないわけであります。
 この数から見ても、一部損壊世帯が半壊認定を求めた、これが非常に多くあるんじゃないかと見受けられます。二次申請で三万件を超えているのも、一部損壊世帯がこの判定に不服であるといったところが読み取れると思いますけれども、内閣府はそう思いませんか。


緒方政府参考人 お答えいたします。
 住家の被害認定調査におきましては、一次調査の判定結果に納得がいかない方からの申請があった場合につきましては、内部立ち入りも行います二次調査を実施いたしております。さらに、その判定結果に関しまして再調査の依頼があった場合につきましては、依頼内容を精査いたしまして、必要と考えられる点があれば、その点につきましてさらに再調査を実施いたしております。
 御指摘のございました二次調査と再調査の件数からしていきますと、判定結果が引き上げになっていくことを望む方がおられることはわかりますが、その中には、一次調査の結果が一部損壊の方もおられると思いますけれども、半壊や大規模半壊の方もおられるというふうに考えております。


田村(貴)委員 認識が全然だめじゃないんですか。だって、全半壊で一万七千六百十七件ですよ。それをはるかに超える十二万もの申請があるわけですよ。全半壊の人たちは当然やってしかるべきなんですよ。それで、全部の総数が十二万も出ている。それは、一部損壊世帯が、いや、やはり支援を求めたいという数からきているのは明らかじゃないですか。そういう視点に立っているから国は冷たいと言われるんですよ。認識をやはり改めないとだめですよ。
 二次調査、三次調査によって一部損壊が半壊になった、あるいは半壊が大規模半壊に引き上げられた、そうした状況について政府はちゃんと掌握していますか。どの程度ありますか、判定が変わった数。


緒方政府参考人 お答えをいたします。
 御指摘がございましたような判定の引き上げの件数につきましては把握をいたしておりませんけれども、被災者の申請に基づきまして二次調査や再調査を実施することによりまして、被害程度が適切に判定されているものというふうに認識をいたしております。


田村(貴)委員 そういう把握もしていないんですよね。本当に驚くべき状況だと思います。
 熊本日日新聞が去年の九月に報道したところによると、五割超が一次より重くなっていると。その二次判定、三次判定になったら、やはり被害度合いが精査されて重たくなっていくというのは自然の流れなんですよ。
 私、二月の予算委員会で、一部損壊世帯の話をいたしました。(写真を示す)こういう世帯で、瓦が落ちて、そして、天井を見上げればブルーシートという家があるということも資料で提出いたしました。この家は一部損壊世帯なんですよ。だけれども、数次の調査によって半壊認定になったわけなんですよ。見た目からはわかりませんよね。わからない。しかし、半壊の認定をされたということなんですよ。
 一部損壊と半壊では、全然、支援制度が変わってきますよね。御存じですよね。だから、これが大事だ。どのぐらい変わったかぐらいはちゃんと掌握しないとだめですよ。掌握しない限りは、被災者のニーズはわからないじゃないですか。一部損壊世帯がどの程度の被災に遭って、どういう支援を求めているかもわからないじゃないですか。
 私は、具体的にこういう事例を、本委員会でも予算委員会でも事例を示して政府に求めてきました。せめて調査ぐらいはした方がいいんじゃないですか、判定によってどう変わったのか。これはぜひやっていただきたいというふうに思います。
同じく二月二十三日の予算委員会で、私は、国は自治体と協力して被災調査の、実態、被災者の要望把握に努めるべきだというふうに言いました。その後どうなったでしょうか。時間がないので、これはまたいずれの機会に聞かせていただきたいというふうに思います。
 いずれにしても、熊本地震では一部損壊世帯が非常に多かったこと、数的にも多い。そして、その度合いというのは、半壊ぎりぎりのところが非常に多いということであります。この先、雨が心配だ、この屋根の状態でどうなるのか。しかし、お金がなくて修理することができない、家を移りかわることもできない。こうした世帯を放置しておいていいんですか。国がやはり支援をするべきじゃないですか。
 安倍首相は、被災一年たったせんだっての震災犠牲者の追悼式で、一日も早い生活の再建と復興を実現するため、政府一丸となって全力で取り組んでいくと。全力で取り組んでいくんでしょう。しかし、一日も早い生活の再建、できていないところがたくさんあるわけなんですよ。支援すべきじゃないですか。いかがですか。


緒方政府参考人 お答えいたします。
 被災地に対します生活とか住宅の再建を支援する制度といたしましては、被災者生活再建支援金がございます。この支援金につきましては、住宅に全壊や大規模半壊の重大な被害がある場合に限りまして支援を行っております。
 また、災害救助法に基づきます応急修理につきましては、住宅に半壊の被害の方を対象といたしまして実施をいたしております。
 さらに、一部損壊の被害を受けた方に対しましては、住宅金融支援機構の災害復興住宅融資等の支援のスキームもございます。
加えまして、熊本県におきましては義援金によりまして、また県内市町村におきましては独自支援によりまして、支援を行っているケースもあるというふうに認識をいたしております。
 引き続き、被災自治体の意見も聞きながら、国と自治体一体になりまして取り組んでいきたいと思っております。


田村(貴)委員 そう言うのであれば、一部損壊世帯に直ちに手を打つべきです。
 引き続き要求していきたいと思います。以上で質問を終わります。