196-衆-環境委員会-10号 平成30年06月08日 飛散防止、患者救済を 田村貴昭氏 アスベスト公害で要求

○田村(貴)委員 日本共産党の田村貴昭です。
きょうは、アスベスト対策について質問をします。
アスベスト公害については、二〇〇八年の提訴以来、国の責任が繰り返し断罪され、昨年十月の高等裁判所、東京高裁では、建材メーカー四社に賠償を命じました。また、個人事業主として扱われてきた一人親方についても、労働者として救済の対象となったわけであります。
国と建材メーカーなどが拠出する資金で裁判によらず簡易迅速に救済する被害者補償基金制度の創設の確立が、今まさに強く求められているところであります。そして、求めたいと思います。
アスベスト対策の全般的な考え方については最後に大臣にお伺いするとして、当面する課題について質問をしたいと思います。
アスベストは、一九七〇年代から九〇年代にかけて日本に大量に輸入され、吹きつけ材、屋根などの建材に広く使われてまいりました。建築物の解体による石綿の排出量が、二〇二〇年から二〇四〇年にピークを迎えます。対策強化が必要であります。
そこで、伺います。
住宅、建築物における国のアスベスト含有調査、アスベスト除去等の補助制度について御説明をいただきたいと思います。資料も配付しているので、簡潔にお願いします。


○眞鍋政府参考人 住宅、建築物のアスベスト調査、アスベスト除去等の補助制度についての御質問をいただきました。お答えしてまいります。
国土交通省におきましては、社会資本整備総合交付金における住宅・建築物アスベスト改修事業により、住宅、建築物における吹きつけ建材中のアスベストの有無を調べるための調査費用、吹きつけアスベスト等の除去、封じ込めあるいは囲い込みに要する費用について支援を行っております。
地方公共団体が行う場合には直接、民間事業者が行う場合には、地方公共団体を経由して補助を行っております。


○田村(貴)委員 調査と除去における補助率について教えていただけますか。


○眞鍋政府参考人 お答え申し上げます。
まず調査でございます。これはアスベストの含有調査でございますが、国費率は十分の十ということになってございます。
除去等の工事費用については、地方公共団体が実施する場合には三分の一以内、民間事業者が実施する場合には、地方公共団体の補助額の二分の一以内で、かつ全体額の三分の一以内、これを上限としてございます。


○田村(貴)委員 それで、自治体が補助を受けるためには補助制度そのものを設けなければいけないんですけれども、政令市を除く市町村の創設状況について説明をしてください。


○眞鍋政府参考人 市町村の補助制度についての御質問でございます。お答え申し上げます。
直近で私どもが把握しておりますデータ、平成二十九年の四月の一日現在の数字でございますが、政令市以外の市町村では、三百五十三自治体で補助制度がございます。そのほか、補助制度はありませんが、利子補給や融資制度を創設している市区町村が十一、かつて補助制度を創設していたが既に役割を終えて終了している市区町村が四十八、現在検討中の市区町村が八十五というふうに把握してございます。


○田村(貴)委員 今答弁いただいた数字については、資料として配付させていただいております。
私もこの結果を見て驚いたわけなんですけれども、政令市を除く八割の市町村では補助制度が創設されていないわけなんですね。初め御説明いただいたように、調査においては自治体では十割国費で補助してもらえる、そして除去については三分の一以内という規定があるわけなんです。こうした制度すら活用されていない。私は福岡県なんですけれども、六十自治体があって、政令市が二つですから、五十八の市町村のうち五十七の市町村がないという状況がこの結果に書かれているわけであります。
融資等において対応というのも、この右下の表で見ますとわずか〇・六%。つまり、多くの市町村において、調査ないし対策あるいはそのいずれも対応がなされていないというふうに受けとめました。
環境省、対策が急がれるのではないでしょうか。解体や災害などによる飛散の防止、又はどこにアスベストが建材などで使われているのか、この把握をすることが何よりアスベスト対策の前提となってまいります。この状況を今後どうされていくのかについて、答弁いただけますか。


○早水政府参考人 お答えいたします。
アスベストの解体時のためには、やはりどこにアスベストが使われているかということの情報が非常に大事かと思います。これは、災害発生時にも非常に重要かと思います。
こういった、平常時から建築物等における石綿の使用状況を把握しておくことが大事だということで、例えばですが、昨年度改定した災害時における石綿飛散防止に係る取扱いマニュアルにおきまして、平常時から建築物等における石綿の使用状況の情報を把握、整理しておくことが望ましい旨を明記しまして、自治体へのブロック会議においてもこの説明をして、災害に備えた事前準備を行うように周知をしております。
平時からこういった準備をして、情報共有が進むように周知していきたいと考えております。


○田村(貴)委員 建築物石綿含有建材調査マニュアル、平成二十六年十一月、国土交通省、こういう報告があります。ここに述べられている記述をちょっと紹介したいと思うんですけれども、「建築物に石綿含有建材が使用されているか否かの調査について、国の助成制度は整備されているものの、建築物における石綿含有建材の使用実態の把握は決して進んでいるとはいえない。」四年前の記述ですけれども、こう書かれている。そして、数字的にも今あらわれているわけですね。
しかも、この報告の中で、対象となっている鉄筋や鉄筋コンクリート造のおよそ二百八十万棟の建築物を調査対象とし、というふうに挙げられているんですけれども、国交省にこの間教えていただいた調査建材というのは、吹きつけアスベスト及びアスベスト含有吹きつけロックウール、この対象は二十六万三千棟ということで、ちょっと桁違いではないかなというふうに思うわけです。
もっともっと調査をする必要があるんじゃないでしょうか。乗り込んでいって、建材等々にこうしたものが含まれているのかどうなのか、これはやはり行政の力をもって把握していくことが何よりも重要だというふうに思います。
そこで、一つ提案させていただきたいと思うんですけれども、熊本地震アスベスト対策合同会議において、アスベストアナライザーが建材における含有を測定でき有用であるというふうに会議で紹介されました。その一文をここで紹介したいと思います。
二〇一七年三月二十一日、熊本地震アスベスト対策合同会議録がホームページ上で公開されています。この意見を行った委員は、熊本県の環境生活部の職員の方であります。
「事前調査が適切かどうかというチェック・監視としてアスベストアナライザーを使っております。」「大防法関係で」、大気汚染防止法ですね、「大防法関係でアスベストを担当している職員は化学の職員が多く、建築はよく分からないところですので現場に行っても、解体業者が自信たっぷりに、どの建材にもアスベストは無いと言い切る場合が多く、なかなか建築の知識がないとそれに反論して説得力のある指導が出来がたいところがあったのですけれども、アスベストアナライザーで入っていることを示せば、指導に納得頂くことが有って、非常に重宝しているところでございます。」というふうに言われています。
ですから、災害では、東日本大震災でも、熊本地震においても、このアナライザーという計測器が大いに役に立ったと。はかれる限界はあります。しかし、ここで計測されたということは必ず入っているわけですから、ここはやはり注意して扱わなければいけない。解体するときも、注意しなければいけないというふうにわかるわけなんですね。
アスベストの所在を知り、そして飛散を未然に防止するためにも、こうしたアスベストを検出する機械を、行政機関、国や自治体に備えるべきであるというふうに私は考えますけれども、いかがでしょうか。

○早水政府参考人 お答えします。
先ほども少し御紹介しました、環境省が最近改定いたしました災害時における石綿飛散防止に係る取扱いマニュアルの中で、自治体が石綿露出状況を把握するために、吹きつけ石綿等を使用している可能性のある建築物等を特定し、確認調査を実施するため、必要な資機材を準備するとしておりまして、その中で、アスベストアナライザーにつきましても、今もお話のあったように、建材中の比較的高濃度のアスベストについては、簡易に短時間で測定することができる機材ということで、その一つの例として取り上げております。
自治体におきまして、災害時における石綿の露出状況把握のための、資機材として必要なものを整備するよう、引き続き周知してまいりたいと考えております。


○田村(貴)委員 周知していくということですね。確認しました。
災害時は、その瞬間、その瞬間が勝負でありますし、そこでないと言われて、実は飛散していた、そこでもう吸い込んでしまったら、後は、二十年後、三十年後に発症してしまう、悲劇を生んでしまうので、本当に繊細な神経が要るんじゃないかというふうに思うわけです。周知徹底を図っていただいて、ぜひ推奨していただきたいというふうに思います。
また、関連して、自治体がアスベストの使用構造物を掌握する意味では、今言いましたような検査を行いながら、どこに建材として隠れているかを把握し、これをやはり記録する、住民にこの情報をやはり共有してもらうことが必要であるという意味で、アスベストハザードマップの作成の意義が、建築あるいは医師、専門家からも指摘されているところであります。
この作成支援について、国の方はどういうふうにお考えになっておられるでしょうか。


○早水政府参考人 お答えいたします。
先ほど御紹介しました災害時における石綿飛散防止に係る取扱いマニュアルの中で、平常時から、石綿使用状況の把握、整理をしておくことが望ましいと明記しておりまして、ブロック会議でも周知しておりますけれども、このマニュアルの中で活用できる情報を示しておりまして、例えばですけれども、国土交通省で整備を推進しているアスベスト調査台帳あるいは自治体の所有施設の使用実態調査など、こういった情報を共有できると示しておりますので、平常時から自治体において関係部局で共通するよう、このマニュアルを通して周知していきたいと考えております。


○田村(貴)委員 次に、アスベスト新法による救済給付についてお伺いします。
アスベスト疾患は、二十年から四十年の潜伏期間を経て発症するので、今後、患者が増大する可能性があります。被害者、患者が救済制度から漏れてはなりません。
アスベスト新法による救済給付で、肺がんの基準が厳し過ぎると専門家からの指摘があります。喫煙歴があることをもって外されてしまうということが多々あるというふうに伺いました。
肺がん患者であって、アスベストの暴露を医学的に確認できる方法はあるというふうに思いますけれども、いかがでしょうか。


○梅田政府参考人 お答えいたします。
肺がんは、喫煙を始めとしてさまざまな原因があり、石綿によるものであるか否かの判定は容易ではないことから、現行制度におきましては、国際的コンセンサスに照らして石綿によるものである蓋然性が五〇%以上と言えるような医学的所見が確認されれば、石綿暴露歴を問わずに石綿によるものと判定することとしております。
また、その具体的な基準につきましては、例えば、肺内石綿小体の量について、国際的なコンセンサスが得られている科学的知見として幅のある値の中から最も緩やかな値を採用するなど、科学的根拠に基づきつつ、個別的因果関係を問わず迅速な救済を図るとの制度趣旨に照らして設定されておりまして、国際的に見ても厳しい基準とは考えておりません。
石綿健康被害救済制度における肺がんの医学的判定に当たりましては、胸膜プラークや肺線維化所見等の放射線画像所見や、肺内石綿小体濃度の計測により行いますが、それらが認定基準を満たさない場合には、原則として肺内石綿繊維計測を行うこととしております。
環境省といたしましては、救済制度で救われるべき方が救われるよう、今後とも、石綿による肺がんに関する医療機関への重点的な周知等に努めながら、着実な制度運営を図ってまいりたいと考えております。


○田村(貴)委員 つまり、開胸しなくても調べられるということですよね。
ところが、がん拠点病院においても、肺がんの患者さんに対して、職業歴が聞かれない、居住歴についても尋ねられないといったところで、そうしたら、アスベスト疾患というふうに認定されなくなってしまうわけなんですね、所見がない以上は。そういうことがあるというふうに、私も専門医から伺いました。
答弁が重なるかもわかりませんけれども、今こういう現状があって、多くの被害者が救済から漏れている可能性がある。現状打開が必要ですよ。
ですから、もっと、職業性がんであることの可能性を持って診察に当たっていくことが必要ではないかと思いますけれども、環境省、これからどうされていきますか。


梅田政府参考人 お答えいたします。
環境省としては、石綿による健康被害者を迅速に救済するため、職業暴露歴を問わず、救済制度及び石綿関連疾患に関する、救済が行われるように、この情報を医療機関、医療関係者へ周知することが重要であると考えております。
平成二十八年の石綿健康被害救済小委員会の審議におきましては、医療現場において現行制度への申請を勧奨できるように、関係する医療団体等へ周知を図るべきとされたほか、肺がんについて重点的に医療機関に周知すべきとされました。
これを受けまして、医療従事者向けの講習会や医療関係者向け手引の作成、配布等を通じた周知に加えて、昨年度から、関係する学会や医療ソーシャルワーカーの団体を始めとする医療関係団体及びがん診療連携拠点病院等の相談支援センターに対しても、制度周知等を実施しているところでございます。
今後も引き続き、救済制度等のさらなる周知を図ってまいりたいと考えております。


○田村(貴)委員 その周知徹底が目に見えて前進するように、頑張っていただきたいと思います。
大臣に今お伺いしたいと思うんですけれども、きょう議論してきました。多くの被害者が救済と補償を求めています。私が冒頭言いましたように、裁判によらずに、例えば、アスベストを扱っていた労働者が簡易迅速に救済を受けられる被害者補償基金制度、この創設というのはお耳にも入っていると思いますし、ぜひ強く求めていきたいと思います。こうした状況があること。
そして、きょう議論しましたように、現時点でも多くの課題があるわけであります。そして、その所管は幾つかの省庁に分かれているところであります。いろいろお話を伺って勉強する中で、コーディネートする方がおられないなというふうに思うわけです。
ぜひ、中川環境大臣には、省庁にまたがるアスベスト対策において、大きな視点に立って見ていただきたい、コーディネートもしていただきたいし、私がきょう申し上げた対策、救済制度についても、万全を尽くしてぜひ前進させていただきたいなと思いますけれども、大臣の所見をお伺いしたいと思います。


○中川国務大臣 アスベスト問題は、国民生活に密接に関連する重要課題でございます。関係省庁が密に連携しながら、総合的な対策をとることが必要であると認識しております。
政府全体では、平成十七年十二月に開催したアスベスト問題に関する関係閣僚会合において、アスベスト問題に係る総合対策を取りまとめ、健康被害者の救済、今後の被害を未然に防止するための対応、国民の有する不安への対応に取り組んでいるところでございます。
今後とも、関係各省との緊密な連携のもと、環境省としてもしっかりとその役割を発揮して、アスベスト対策に全力を尽くしてまいりたいと考えております。


○田村(貴)委員 ぜひ全力を尽くしていただきたいと思います。
厚労省に最後お伺いします。
健康管理手帳を労働者が持った場合に、年間二回ぐらいの健康診断が受けられます。どの程度の方が罹患しているのか、そして、罹患した方がどの程度労災に申請したのか、こうした傾向を見ていくことが非常に大事だと思うんですけれども、今の時点でそういうデータがないというふうにお伺いしました。いかがでしょうか。


○松島委員長 厚生労働省田中労働基準局安全衛生部長。なお、質疑持ち時間が終了いたしておりますので、短くお願いします。


○田中政府参考人 御指摘の健康管理手帳で健診を実施しているわけですけれども、平成二十九年時点で、その手帳は約三万五千人の離職者に交付をしていまして、年間で延べ四万六千人の方が健診を受けておられます。
そのうち、要療養となっている方は約二百五十人というふうに把握しておりますけれども、その中で労災申請の状況については、現在、把握していないところでございます。


○田村(貴)委員 時間が来ました。終わります。ありがとうございました。