198-衆-環境委員会-7号 2019年5月31日 九州電力出力抑制 原発稼働し太陽光の発電停止 意欲削ぐ

○田村(貴)委員 日本共産党の田村貴昭です。

きょうは、エネルギー政策について質問します。
大臣、きょうは九州電力の原発とそれから出力制御のことについても質問しますので、最後にお答えいただきたいというふうに思います。
九州電力川内原発の特定重大事故等対処施設、いわゆるテロ対策施設の建設が大幅におくれていると原子力規制委員会で報告されています。設置期限に対してどういう状況になっているんでしょうか。
規制委員会の更田委員長は、基準を満たしていない状態になった原発の運転を看過することはできないと述べておられます。間に合わない場合の措置について、あるいは稼働停止の可能性について説明をしていただけるでしょうか。


○更田政府特別補佐人 お答えをいたします。
特定重大事故等対処施設につきましては、本体施設の工事計画認可を受けてから五年以内に設置することを求めておりまして、先日の規制委員会において、この方針を改めて確認したところであります。したがいまして、期限を迎えた時点で特定重大事故等対処施設が完成していない場合には、原子炉の停止を求めることとなります。
ちなみに、現在までのところ、九州電力は、期限までに工事を完了させるとの届けを変更してはおりません。


○田村(貴)委員 そういう特定重大事故等の対処施設ができていないにもかかわらず、一番最初に、福島事故以降一番最初に九州で、川内原発で認めてしまったこと、なおこういう施設がないにもかかわらず稼働していること自体が問題であると思います。
もし川内原発が仮に停止となった場合の九州における電力供給はどうなっていくんでしょうか。


○村瀬政府参考人 お答え申し上げます。
現在、九州電力においては、特定重大事故等対処施設の早期完成に向けて最大限の努力をしている状況と承知しておりまして、現時点で仮定の御質問へのお答えは控えたいと考えております。
いずれにいたしましても、いかなる状況となったといたしましても、電力の安定供給の確保に万全を期してまいりたいと考えてございます。
その上で、一般論として申し上げれば、例えば休止中の火力発電所の立ち上げですとか他エリアからの融通など、電力の安定供給を確保するために必要な措置を講じることによりまして、安定供給の確保に向けて対応してまいりたいと考えてございます。


○田村(貴)委員 仮に川内原発が停止になったときに、かわる原発というのはもうないわけなんですね。そして、火力発電とか他のエネルギーによって賄っていくということになるとするならば、原発をとめたっていいじゃないですかということになるわけです。
更田委員長、ずっと報道もされているんですけれども、基準をもし満たしていない状態になったら原発の運転は認められない、看過できないといったところの御主張は、そのとおりなんでしょうか。


○更田政府特別補佐人 お答えをいたします。
これまで維持してきた方針に変わりはありません。


○田村(貴)委員 確認しました。
九州電力において、太陽光発電における出力制御がずっと続いております。私、この問題、この委員会でもただしてまいりましたけれども、昨年秋からの出力制御の状況について説明をしてください。また、出力制御にあっている事業者、停止回数、そして売電ができずに捨てざるを得なかった電力量等々について説明をしてください。


○松山政府参考人 お答え申し上げます。
出力が変動いたします再生可能エネルギーに関しましては、電力の安定供給を維持するために、あらかじめ決められたルール、すなわち短時間で調整が可能な火力発電をまず最大限抑制した上で揚水運転を行い、地域間連系線を活用した送電などをやり、それでもなお供給量が過剰となる場合に制御をするということの運用をしてございます。
お尋ねの九州でございますが、再エネの急速な拡大が進んでございまして、昨年十月十三日以降でございます。
対象となっております、これは事業者といいますか発電所単位で申し上げますと、約二・六万発電所となりまして、合計で五十六回、一発電所当たりで申し上げますと十四から十五回の出力制御が行われているところでございます。
これを量で換算して答弁申し上げますと、二〇一八年度の制御量、すなわち発電を抑制した量でございますが、九千四百万キロワットアワーでございまして、年間の出力制御率として全体の中での割合で換算いたしますと〇・九%と承知してございます。


○田村(貴)委員 十月十三日以降五十六日ということでありましたけれども、四月一日以降は何日になりますか。


○松山政府参考人 四月一日以降、三十日の抑制がされてございます。


○田村(貴)委員 そうすると、きょうが五月の末ですから、二日に一遍出力制御になっているという状況ですよ。そして、接続している太陽光発電の量に対しての抑制量も大きく上がっている、ことしになって。まさに出力制御が常態化している。これは私は重大だというふうに思います。そして、原発は何が何でも動かしていく。
燃料費がゼロでできた太陽光の発電を捨てて燃料のかかる原発発電を優先するのは、これは経済的にも省エネ社会をつくる上でもおかしいと私は思うんですけれども、いかがですか。


○松山政府参考人 お答え申し上げます。
委員御指摘のように、昨年十月十三日以降五十六回、四月以降で三十回の出力制御という状況は、従前に比べますと、出力を制御しないと電力安定供給ができないという状態に九州電力の管内では至ってきたということのあらわれかと認識しておりまして、太陽光がそれほど多く導入が拡大してきたということのあらわれかと認識してございます。
一方で、出力制御自体は、春、秋といった、需要が少なくて、一方、太陽光発電の発電効率が高い時期に集中的に生じるところでございまして、全体で見ますと、まだそれほど高い状況ではない。ただ、これから後だんだん高まっていくであろうということは認識しているところでございます。
一方で、太陽光発電のような変動する再生エネルギーを系統に接続する上では、一定の再生エネルギーが、電力安定に問題が生じるときには制御するという前提のもとで接続をするか、そういうことにせずに、もうそこに、あふれるようだったらつながないか、どちらかになるわけでございます。
これはヨーロッパの例も同様でございますけれども、一定の制御を前提とした上で系統への接続を進めていくという方針で現在取組を進めているところでございまして、今後ともこの主力電源を図っていく上ではこのことが必要かと認識してございます。


○田村(貴)委員 いやいや、諸外国では、電力別に出力を抑制していく、そういうやり方もあります。日本のように、最後の最後に停止を求める、原発が一番優先される優先給電ルール、これはやはり時代おくれであります。そういう指摘をする識者の方もおられます。あらかじめ電源別の順位を決めずに、市場に任せる欧州の仕組みの方が恣意的でなくフェアだと、都留文科大学の高橋先生も主張されています。そういう専門家、識者の声にも耳を傾けるべきではありませんか。
そして、今まだマックスではないというふうにおっしゃっているんですけれども、四月から三十日、出力制御されているんですよ。そして、せっかく再エネ拡大で頑張っていこうと事業者の皆さんも投資して太陽光発電、発電所をつくった、しかし、それが二日に一遍制御されているのでは、これは経営的にも大変なことになりますよ。深刻な問題という受けとめがないんじゃないかと思います。
九州では、月に五万キロワットのペースで太陽光発電が今ふえています。これは喜ばしいことですよね、歓迎すべきことですよね。首を振っておられるから、うなずいておられるから、そうなんですよ。委員会でも確認しました。大臣、これはいいことですよね。自然エネルギーがずっとふえてきた、いいことなんですよ。
だけれども、このままいったら、もしかしたら、十から五百キロワット未満、最悪の場合、家庭用の太陽光発電、こうしたものも制御されていくのではないかといった懸念が今生じているわけなんですけれども、既にもうこういう検討に入っているんですか。


○松山政府参考人 お答え申し上げます。
委員から今お尋ねありました、再エネの導入を図る上での出力制御のあり方でございますが、これは繰り返しになりますけれども、再エネの導入規模をふやしていくためには、これはどうしても変動してしまうものですから、出力制御ということを前提とした上で接続をふやしていくということは、我々は引き続き進めていきたいと考えてございます。
一方で、今のお尋ねにございました、家庭用のところを含めてどうするのかということでございますが、これまでも、ルールの中では、まずは事業用の太陽光を対象とし、これも、順次ルールが変更されてきています、その契約に基づいてという形になりますけれども、原則は家庭用の太陽光については制御をしない方向で運用を進めてございます。ここについては、今のところ変わりはございません。


○田村(貴)委員 確認しますけれども、十から五百キロワット未満の設備について、これも制御の対象としていくことの検討があっているんですか。それはもう決まったんですか。


○松山政府参考人 お答え申し上げます。
先ほどちょっと御答弁申し上げたのは、十キロ未満の住宅用のことを御答弁申し上げたところでございますが、十から五百のところについて申し上げますと、これまでの契約のルール上、五百キロワット未満の部分については出力制御をしないという対象の設備もございました。このウエートが結構多いところでございまして、結果的に、出力制御ができる対象の設備が限定されてしまいます。そうなりますと、まさに委員御懸念のように、事業者にとってみては、逸失してしまう発電量が一事業者当たりふえてしまう。
そうではなく、できるだけたくさんの事業者の方々に負担を共有していただきながら、できる限り多くの再生可能エネルギーを系統につないでいくべきではないかという議論が現在審議会の中でなされておりまして、委員御指摘のような十から五百の部分についての発電所についても出力制御の対象に加えるべきではないかというような議論が今行われているところでございます。


○田村(貴)委員 そうすると、太陽光発電の事業者に対して、事業所に対して接続をこれからもふやしていきたいとする今の答弁と矛盾するじゃないですか。接続をふやしていきたいというのに、接続はどんどん減っているわけですよ。更にその対象もふやしていくというのは矛盾していませんか。


○松山政府参考人 お答え申し上げます。
接続をふやしていくということと出力制御の対象をどうしていくかということは、同時に成り立ち得るものだと認識してございます。
繰り返しになりますけれども、出力制御の対象がふえて、量が減ることが重要であるという部分でございますし、出力制御をしないと、接続の限界というのが日本の系統事情を考えますとどうしても生じているところでございますので、主力電源化を進めていく上で、引き続き現行の方針で進めてまいりたいと考えてございます。


○田村(貴)委員 去年の臨時国会で、私、この問題を質問しましたけれども、去年の当時の九州電力のホームページ、そして今現在の九州電力のホームページから見ますと、接続検討申込み、これが、二百六十五万キロワットから百二十三万キロワットに下がっている。接続契約申込みも、三百万キロワットから二百三十三万キロワットに減っている。接続済みのもの、それからこれから検討、接続を予定しているもの、これを全部含めて、合計数字が千七百九十四万キロワットから千六百七十六万キロワット。去年は十一月十九日時点での数字を使って今数字を出しました。
結局、せっかく発電所をつくって、そして、売電もしよう、そして再エネを広げようといっても、これだけ出力制御にかかるんだったら、いや、もう計画をやめてしまおうかと、その気勢をそぐ結果になっているのではないかと思うんですけれども、いかがですか。


○松山政府参考人 お答え申し上げます。
九州電力の管内では、既にことしの四月時点で八百六十万キロワットという大量の太陽光発電が接続してございます。更に申し上げますと、接続済み、すなわち運転開始となる太陽光発電についても、平均で月当たりで約七万キロ、近時で申し上げますと、というペースで引き続き増加を続けているところでございます。
こうした中で、委員御指摘のように、太陽光発電の接続契約の申込み若しくは検討の申込数の合計自体は、昨年九月以降減少傾向にあることは認識しているところでございます。
ただ、この要因についてはさまざまなものが考えられるところでございまして、そもそも九州電力管内においては非常に多くの発電の申込みの方々がいらっしゃいました。これが相当数積み上がってございまして、運転開始がされていって、どんどんその母体がだんだん減ってきているという状況、さらには、委員御懸念、御指摘を頂戴しておりますように、出力制御が生じてしまうではないかというものもあるかもしれません。
ただ、むしろ、考えておりますのは、昨年十月の審議会等で、接続の予定をしていたんだけれども動かさない、未稼働の案件というのがたくさんございまして、これへの対策、すなわち調達価格の引下げの議論ですとか、さらには、工事費、系統の負担金の契約を締結しない又は締結したが負担金を支払わない事業者の接続の解除、開放といったものの手だて、準備を進めているところでございまして、そういう中で、熟度の低い事業者が申込み等を取り下げる動きが生じていることも認識してございます。
一方で、発電事業者の事業の予測可能性を高めることが重要でございます。そういう観点で、出力制御の見通しにつきましては、国の審議会において公表するとともに、エリアごとの一時間単位の発電、電力消費量の実績など、さらなる情報公開を進めてまいりまして、発電の投資がシュリンクしていかないように取組を進めていきたいと考えてございます。


○田村(貴)委員 いろいろいろいろおっしゃるんだけれども、私がきょう指摘した問題を解決する方向性が示されていないんですよ。
最大の問題は、大臣、やはり原発ですよ。
川内原発が二基で百七十八万キロワットです。玄海原発が一基で百十八万キロワットです。合計二百九十六万キロワット。約三百万キロワット。電力会社ごとに見て、これだけ原発を動かしているところは九州だけですよ。その九州が、何度も答弁あったんだけれども、一番太陽光発電の普及が進んでいるんですよ。
ですから、この問題を解決するためには、やはり原発をとめないとだめなんですよ。抑制しないとだめなんですよ。こんなに原発を動かしているところはないじゃないですか。
原発に極力依存しない、そうですよね、政府の方針。再エネを最大限ふやしていく、そうですよね、政府の方針は。この政府の方針にも矛盾するわけなんです。出力制御は、こういう状況でいったら、平日もやっているわけですから更に続いていくことになりますよ。事業者の発電ができない、こういう状況を続けていいんですか。再エネ普及のそういう事業者の意欲をそぐことを続けていっていいんですか。その回答を出すのがやはり行政と政治の役割ではありませんか。
大臣にお尋ねします。
事実、今、東京電力管内、中部電力管内、原発を動かしていません。三・一一以降、福島事故以降、原発を動かさなくても電気を供給している、そういう歴史を私たちは歩んでまいりました。私は、九州こそそれが可能な地域だというふうに思っています。省エネ、再エネの拡大で原発ゼロの日本を目指していく、大臣はやはり九州でこの立場をぜひ推進していただきたいと思いますけれども、いかがですか。


○原田国務大臣 今、田村委員がお話しになったそれぞれの点でございますけれども、おっしゃるように、今、政府の大方針としては、原発への依存度を可能な限り低減させる、そのための手法としては、当然のことながら、省エネルギーの徹底、さらには再生エネルギーの開発、こういうことによってそれを実現しようということでございます。
ただ、実際の運用に当たっては、実は各エネルギー政策についてそもそも分担がございまして、エネルギー政策については資源エネルギー庁、経済産業省がしっかりこれからの安定供給も含めて議論しているところでありまして、その安全性については、これは当然のことながら原子力安全規制庁、規制委員会が対応する、その地域の安全性の管理については、これは防災対策という形で環境大臣がしっかりまた対応しているところであります。
いずれにいたしましても、御意見をいただいているところでありますけれども、その辺も含めてこれからしっかりまた政府の中で議論していかなきゃいけない、こういうふうに考えているところであります。


○田村(貴)委員 再生、自然エネルギーの拡大を一番阻害しているのは原子力発電所にある、原子力発電にある。ですから、私は、原発最優先の優先給電ルール、これは見直すべきだということを強く要求して、きょうの質問を終わります。