“戦時食糧法”認めぬ 田村貴昭氏が批判 衆院予算委

2月22日予算委員会 農業政策 政府は、今国会で改定を目指す「食料・農業・農村基本法」で食料自給率を単なる一指標に格下げする一方、「有事」には農家に芋作りなどを命令できる法案を提出しようとしています。日本共産党の田村貴昭議員は2月22日の衆院予算委員会で「“戦時食糧法”は断じて認められない」と迫り、農業施策の抜本的見直しを求めました。(質問動画はコチラ)
 
 現行基本法は食料自給率向上の目標を定めるとしていますが、一度も達成していません。現在の自給率は先進国最低の38%です。
 
 その原因として田村氏は、旧基本法の下で麦・大豆・飼料を米国産に依存する政策を採用したことに加え、環太平洋連携協定(TPP)など度重なる輸入自由化をあげました。
 
 国産米の生産量は年々低下の一方、米国などの余剰米を輸入するミニマムアクセス米(MA米)の総量は77万トン(2023年)前後を維持し、国内生産量717万トンの1割を超えています。
 
 平形雄策農産局長はMA米輸入による22年の差損は674億円だと答弁。田村氏は「政府は税金で米国の農家を支援しながら、日本の農家の苦境を放置している」と批判し、輸入中止を迫りました。
 
 農業従事者も耕地面積も減少の一途(グラフ)で、農業経営統計調査(22年)によると、畑作の1経営体あたりの年平均農業所得は222・8万円にすぎず、水田はわずか1万円。酪農は48・8万円の赤字です。「赤字が続いて、唯一の後継者がメンタルを患って離農した。もう続けられない」―田村氏は、北陸で100ヘクタールを超える集落営農者の悲痛な訴えを紹介。農家が再生産できる収入を政府が保障するよう求めました。
 
 田村氏は、「有事」を想定し生産者らに米や麦、大豆、芋などの生産拡大や生産転換を要請・指示できるようにする「食料供給困難事態法案」は花農家などに芋などを作れと罰則付きで命令するものだと指摘。芋農家とは肥料、資材や営農技術などが異なる花農家に芋などを強制的に作らせるのは「荒唐無稽だ」と批判しました。
 
 「罰則で作付けを強制すれば営農意欲を奪い離農を進める。“離農促進法案”だ」と強調。安保3文書の閣議決定後に出された同法案は戦前の国家総動員法を彷彿(ほうふつ)とさせ、戦争する国づくりの一環で認められないと主張しました。(しんぶん赤旗 2024年2月26日)